Boston Dynamicsが2026年4月14日、四脚ロボット「Spot」の工業点検プラットフォームにGoogle CloudおよびGoogle DeepMindのAIモデルを統合すると発表した。対象はOrbitソフトウェアの「AIVI-Learning」システムで、同年4月8日に既存ユーザー向けの移行が完了している。
統合されたモデルは「Gemini Robotics-ER 1.6」だ。「ER」は「Embodied Reasoning(具現化推論)」の略で、空間的な位置関係の把握・複数カメラ映像の統合・タスクの完了判定(サクセスディテクション)などに特化して設計されている。従来のAIVI-Learningが画像認識中心だったのに対し、Geminiの統合により設備の状態について複合的な推論を行えるようになった。
実用面での目玉は計器の自動読み取りだ。Spotがアナログのブルドンドンゲージやサイトグラス、温度計に近づいてズームで撮影し、目盛りの比率をコード実行で計算したうえで、現在値が安全範囲内かどうかを世界知識を使って判断する。工業施設では日常的な点検が求められる機器だが、これまで自動化が難しかった。
このほか、5Sコンプライアンス監査(整理・整頓・清掃・清潔・躾の確認)、パレット数のカウント、レバーの状態検出、危険物や水たまりの検知なども対応する。AIがどのような論理で結論に至ったかを段階的に表示する「透明な推論」機能も追加され、産業現場での説明責任を担保する。モデルの更新はクラウド側でゼロダウンタイムで実施され、ユーザー側のソフトウェア更新は不要だ。
現在Spotは世界で数千台が工業点検用途で稼働しており、Boston DynamicsはこのGemini統合で得た知見を将来的に全電動ヒューマノイドロボット「Atlas」など他のプラットフォームにも展開する計画だ。