バーボン製造で出る廃棄物から蓄電デバイスを開発、市販品の最大25倍の蓄電容量

FabScene(ファブシーン)

バーボンを1本製造するたびに、その6〜10倍もの量の廃棄物が発生する。蒸留後に残る穀物の残渣「スティレージ」と呼ばれるこの泥状の物質は、農家に飼料として売られることもあるが、水分を多く含むため輸送が難しく、乾燥させるには多大なコストがかかる。

米ケンタッキー大学の大学院生Josiel Barrios Cossio氏と化学者のMarcelo Guzman氏は、このスティレージを高性能スーパーキャパシタの電極素材に変換する技術を開発した。2026年3月25日、米アトランタで開催中のACS Spring 2026(米国化学会)で発表した。なお、論文はまだ査読中で学術誌への掲載は未確定だ。

製造プロセスの核心は「水熱炭素化」と呼ばれる手法だ。スティレージを10Lの反応炉に入れ、高温高圧で処理すると、「ハイドロチャー」と呼ばれる黒色の炭素粉末が得られる。水分を多く含むスティレージの性質が、逆に反応に必要な圧力の生成に役立つという。

この粉末をさらに加熱処理することで、2種類の異なる電極素材が作れる。水酸化カリウムを添加して800℃で加熱すると、表面積が1gあたり1,000平方メートルを超える多孔質の「活性炭」が得られる。一方、200℃で単独加熱するとグラファイトに近い構造を持つ「ハードカーボン」になる。

活性炭電極を使ったコインサイズの電気二重層キャパシタは、市販品と同等の48Wh/kgの蓄電量を示した。さらに、活性炭電極とハードカーボン電極を組み合わせたハイブリッドリチウムイオンスーパーキャパシタでは、従来の市販品と比較して最大25倍のエネルギー密度を達成した。耐久性試験でも、1万5000サイクル後に容量の96%を維持している。

スーパーキャパシタは電気自動車の回生ブレーキや電力グリッドの瞬間的な需給調整など、急速な充放電が求められる用途に使われる。一方、エネルギー密度の低さが課題で、バッテリーとの差を縮めることが業界全体の課題になっている。廃棄物由来の電極素材がこの課題に一定の回答を示した形だ。

バーボンの世界生産量の95%を占めるケンタッキー州では、蒸留所が過去15年で急増している。研究チームは今後、商業化に向けたスケールアップとライフサイクル分析を進める方針だ。

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