話しかけるだけでAIが学べる、持ち運べる学習マシン「CrowPi 3」

香港のElecrowが開発したAI学習プラットフォーム「CrowPi 3」が、クラウドファンディングサイトKickstarterで目標額を大幅に上回る資金調達に成功している。ChatGPTなどの生成AIと音声で対話しながらプログラミングやハードウェア制御を学べる、ノートパソコンサイズの教育用デバイスだ。Raspberry Pi 5を搭載し、180以上の学習コースを内蔵している。

香港のElecrowが開発したAI学習プラットフォーム「CrowPi 3」が、Kickstarterで注目を集めている。2025年6月15日時点で目標額367万円に対して1661万円を調達し、401人の支援者を獲得。締切まで残り20日を残している。

CrowPi 3は、AIとの対話を通じてプログラミングやハードウェア開発を学べる一体型の教育デバイスだ。「パーティーモード!」と声をかけるとLEDが動的に光り、「森のように見せて」と指示すると照明が落ち着いた緑色に変化する。音声が「創造的なインタラクションへの入り口」となる設計が特徴だ。

豊富な学習コンテンツと実践的なAI機能

デバイスにはRaspberry Pi 5が搭載され、41個の内蔵モジュールを通じて実際にハードウェアを制御しながら学習できる。対応するAIモデルはChatGPT、LLaMA、Gemini、DeepSeekなど主要な大規模言語モデルを幅広くサポートしている。

学習機能も充実している。「海賊船長の格好をした犬の絵を描いて」と指示すると、AI搭載の同デバイスが数分で画像を生成する。「公園でピクニックをするロボット家族」というテキストを入力すれば、アニメーション動画も作成可能だ。

物体認識機能では、ピンクのアヒルや黄色い椅子、リモコンなどを画面に映すと即座に認識してラベル表示する。動くピンポン球をリアルタイムで追跡し、フレーム内に収めながら正確にラベリングする機能も搭載している。

教育コンテンツは180以上のコースを用意し、Python学習からIoT開発まで幅広くカバーしている。micro:bitやRaspberry Pi Pico、Nano互換ボードにも対応し、はんだ付け不要で配線できる設計となっている。4.3インチのタッチスクリーンを内蔵し、外部モニターとの接続も可能だ。

教育市場をターゲットにした製品戦略

Elecrowは学習者、教育者、趣味でものづくりを楽しむ人をターゲットに据えている。「経験不要で始められる」ことを重視し、初心者向けの段階的な学習プログラムを提供している。

製品ラインアップは3種類を用意している。基本キット(約2万3000円)はCrowPi 3本体と基本アクセサリーのセット。上位のアドバンスドキット(約4万1000円)にはRaspberry Pi 5 8GB版とバッテリーモジュール、ワイヤレスキーボード・マウス、カスタマイズされたシステムが入った32GB microSDカードが付属する。最上位のデラックスキット(約5万9000円)には持ち運び用モニター「CrowView Note」が同梱される。

教育機関向けには3台セットのエデュケーションキット(約6万4000円)も販売し、教室やワークショップでの利用を想定している。

プロジェクトの全コードと3Dモデルはオープンソースとして公開予定で、ユーザーが自由にカスタマイズできる。配送は2025年8月を予定している。決済は香港ドルで行われ、リアルタイムの為替レートで最終価格が決定される。

関連情報

CrowPi 3(Kickstarter)

FabScene編集部

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