Cyclic Materialsが2026年9月9日、使用済み製品からレアアース磁石を回収する商用規模の工場をアリゾナ州メサで稼働させた。同社によれば米国初となる。同じ9月9日、ホンダはレアアースを使わない磁石を手がけるNiron Magneticsへの出資を発表した。磁石の調達をめぐる異なる二つの答えが、同じ日に出た形になる。
メサの工場は3000万ドル(約46億円)を投じた1万3400平方メートルの施設で、寿命を終えた製品のうち磁石を含むものを年間2万5000トン処理できる。発表から稼働まで17カ月だった。開所式には米商務省で国際貿易を担当するWilliam Kimmitt次官が出席している。
中核は「MagCycle」と呼ぶ工程だ。廃棄されたモーターや機器から磁石を機械的に、しかも自動で分離する。取り出した磁石はレアアースの濃縮物になり、あわせて銅とアルミニウム、鋼も回収する。ただし濃縮物はそのままでは磁石に戻せない。酸化物への精製は別の工程が要るため、同社はサウスカロライナに回収と精錬を1カ所へまとめた拠点を計画している。
原料はすでに7000トンを超えて搬入済みで、最初の商用出荷は2026年9月中を見込む。
もう一方のホンダは、Honda Xcelerator Venturesを通じてNiron Magneticsへ出資した。金額は公表していない。ミネアポリスにある同社の試作工場を補う量産拠点の建設を後押しするとしている。
Nironが作るのは窒化鉄の永久磁石である。鉄と窒素という、どこにでもある元素だけで作るため、レアアースの供給の偏りそのものから外れる。同社は自動車のほか、ロボティクス、産業機器の自動化、AIとデータセンターの設備、民生機器にも向けるとしている。
Nironには2023年にGM Venturesとステランティスの投資部門が計3300万ドル(約51億円)を出しており、ボルボの投資部門も株主に入る。日本企業との接点も今回が初めてではなく、2026年7月には長野県のシナノケンシと供給契約を結び、レアアース不使用モーターの量産に向けた共同開発を始めている。