エレファンテック、銅ナノ粒子インクでHDI基板のビア形成——気泡やパラジウムの課題を解消

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エレファンテックは2024年12月23日、銅ナノ粒子インクを使った新しいビア形成技術「銅ナノダイレクトめっき法」を発表した。AIサーバーなどに使われる高密度基板(HDI基板)向けで、従来の化学銅めっきで問題となっていた気泡の発生やパラジウムの使用を不要にした。

HDI基板では、層間を電気的に接続するためにビア(微小な穴)を設け、内部を銅で満たす。従来の化学銅めっきでは、反応時に水素ガスが発生し、小径のビアではガスが抜けにくく気泡(ボイド)として残る問題があった。HDI基板の不良の約40%がビアのクラックやボイドに起因するとされる。

新技術では、直径15nmの銅ナノ粒子を含むインクをビア内に塗布し、還元液に浸して銅膜を形成する。還元工程では水素ガスが発生しないため、気泡の問題が原理的に起きない。触媒のパラジウムや、発がん性物質のホルムアルデヒドも不要になった。

銅ナノ粒子はビア内壁のガラス繊維とエポキシ樹脂の両方に吸着するよう設計されている。インクジェット方式での選択塗布にも対応し、SAP、MSAP、サブトラクティブなど各種プロセスに適用できる。

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インクジェット印刷直後のビア内壁の断面画像(画像出典元:プレスリリース)

試作した4層HDI基板(ビア径100マイクロメートル、絶縁層厚60マイクロメートル)は、−65℃/125℃のヒートサイクル試験を700回クリアした。抵抗変化率は判定基準の±10%以内に収まり、断線やクラックは確認されなかった。

同社は今後、基板メーカーへの印刷機とインクの供給を通じて実用化を進める。サンプル加工も受け付けている。

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プレスリリース(エレファンテック)

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