バルサ材をナノスケールで改造して太陽熱を蓄え、日没後も発電するソーラー素材を開発——変換効率91.27%

FabScene(ファブシーン)

太陽光発電の弱点は、太陽が沈むと発電が止まる点だ。熱として蓄えておく方法もあるが、従来は吸光層・蓄熱層・保護層を積み重ねる複雑な構造が必要で、各層の境界でのエネルギーロスが課題だった。

研究チームが取った解決策は、木材そのものをオールインワンのソーラー素材に変えることだ。Advanced Energy Materials誌に掲載された論文(DOI: 10.1002/aenm.70872)で、バルサ材を出発点としたソーラー熱発電材料の開発が報告された。

製造プロセスは多段階だ。まずバルサ材のリグニンを薬品で除去し、内部の気孔率を93%以上に高める。次にチャンネル壁面を「黒リン(ブラックフォスフォレン)」の超薄膜でコーティングする。黒リンは紫外から赤外まで広帯域で太陽光を吸収するが、空気中で酸化しやすい弱点がある。そこでタンニン酸と鉄イオンからなる金属ポリフェノールネットワークで各ナノシートを保護した。さらに銀ナノ粒子をプラズモン効果による光吸収増強のために添加し、最後に炭化水素鎖を表面に結合させて超撥水性を持たせた。最終的にチャンネル内をステアリン酸(バイオベースの相変化材料)で充填する。

得られた素材の性能は優れている。蓄熱量は約175kJ/kg、太陽光の熱変換効率91.27%、木目方向の熱伝導率は3.9倍に向上した。熱電発電素子と組み合わせると、1太陽照度(1000W/m²)で最大0.65Vの出力電圧が得られた。光を遮っても、溶融したステアリン酸が固化する際に蓄えた熱を徐々に放出し続けるため、日没後も発電が継続する。100回の加熱・冷却サイクル後もほぼ性能変化はなく、2分以内の自己消火特性と抗菌性も備えている。

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