Espressifが2026年7月16日、スマートロックや入退室管理の機器をAliroに対応させるための開発ソリューションを発表した。Aliroは業界団体のConnectivity Standards Allianceが策定した規格で、スマートフォンや腕時計をデジタルの鍵として使うための共通の土台にあたる。同社の無線SoCと開発環境のESP-IDF、Matter向けのソフトウェア群を組み合わせて製品を作れる。今回対応するのはNFCをかざして解錠する方式で、Bluetooth LEを使う方式と、Bluetooth LEとUWBを組み合わせて手をかざさずに解錠する方式は今後の対応を予定する。
Aliroが解こうとしているのは、デジタルの鍵をめぐる分断だ。現状では、錠前、読み取り機、資格情報を管理する仕組み、スマートフォンのウォレットがそれぞれ別々に作られており、組み合わせによって使えたり使えなかったりする。Aliroは資格情報と通信の枠組みを共通化し、主要なスマートフォンやウォレットをまたいで一貫して動く製品を作れるようにする。住宅からオフィス、宿泊施設、学校まで、同じ操作感で鍵を開けられる状態を目指す。同社はMatterとAliroを補い合う関係として説明する。Matterが機器そのものの制御を共通化し、Aliroが鍵の受け渡しと解錠の体験を共通化する。
対応する構成は幅がある。Matterの通信にWi-Fiを使う製品でもThreadを使う製品でも組める。電池で動かすThread機器向けとして同社が挙げるのは、次世代のSoCであるESP32-H21とESP32-H4だ。いずれもBluetooth LEとIEEE 802.15.4の無線を内蔵する。H21はシングルコアのRISC-Vに降圧回路を内蔵した構成で、消費電力と価格の両方が効いてくる入退室や各種センサーの用途に向く。H4はデュアルコアのRISC-Vで外付けのPSRAMに対応し、複雑なプロトコルを積んだり大きな作業領域が必要になったりする製品を想定する。
手元で試す道筋も用意された。同社はリファレンスとなるデモを公開しており、使うのはM5Stackの2製品だ。ESP32-H2を載せた開発キット「NanoH2 Dev Kit」に、ST25R3916を使ったNFCの拡張ユニット「NFC Universal Unit」をつなぐ。2つをつなぐとMatter over Threadの接続と、AliroのNFCによるタップ解錠が動く。デモのコードは、同社がGitHubで公開するesp-matterのドアロック向けサンプルに含まれている。