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米向け電子機器の認証で中国ラボ排除へ、ESP32など個人電子工作にも影響

スマートフォンやWi-Fiルーターなど電波を出す電子機器を米国で売るには、米国の通信当局による認証が必要だ。その認証に必要な性能試験を、誰がどこで実施するかというルールが、大きく変わろうとしている。

米連邦通信委員会(FCC)は2026年4月30日の会議で、米国向け製品の電波試験を扱うラボ(試験施設)のうち、米国と「お互いの試験結果を認め合う協定(相互貿易協定、MRA)」を結んでいない国に所在するものを段階的に排除する案を全会一致で議決した。事実上、中国・香港にある試験ラボが対象となる。

これまで、米国で売られる電子機器の多くは中国のラボで電波試験を受けてきた。FCCの集計では、2024年に米国の電波認証を取得した機器のうち、米国内のラボで試験されたのはわずか3.6%、米国と協定を結ぶ国のラボでも12.5%にとどまり、合計しても16%程度。残り約84%は中国を中心とする協定外の国で試験されている。一方、中国は米国のラボで取った試験結果を受け入れてくれない非対称な状態が続いていた。FCCのCarr委員長は「米国向け試験の75%以上が相互主義のない国で実施されている」と問題視しており、まず米国・協定締結国のラボで試験された製品の認証審査を優先処理する仕組みを導入する。協定外の国のラボに対しては2年間の移行期間を設けたうえで認定を取り消す方針で、パブリックコメント(一般から意見を募る期間)に進んでいる。

今回の規制は米国で販売する場合の話で、自宅でESP32やRaspberry Piを使って何かを作ったり、日本国内で頒布したりする分には何の影響もない。日本国内で売る場合に必要なのは技適マークと呼ばれる総務省所管の認証で、これとは別の制度だ。

影響が出るのは、自分の作った製品を米国で売ろうとする場合だ。ここでESP32が話題になる。ESP32は、Wi-FiやBluetoothを内蔵したマイコンモジュールで、世界中のメイカーやハードウェアスタートアップがIoT機器の心臓部に使っている主力部品。これを開発・販売するEspressif Systemsは中国・上海の会社で、ESP32本体(ESP-WROOM-32、ESP32-S3、ESP32-C3など)はFCC認証を中国国内のラボで取得している。同じ構図は、日本でも人気の「M5Stack」シリーズ、「Seeed Studio」の各種開発ボード、中国の工場で量産される多くのIoT機器・ドローン・家庭用ルーターにも当てはまる。米国で販売する完成品にこれらを組み込んでいる場合、規則が確定して移行期間を過ぎた後は、米国または協定締結国のラボで認証を取り直す必要が出てくる見通しだ。

具体的なコスト感として、業界では中国ラボで400〜1300ドル(約6万4000〜20万8000円)で済んでいた認証費用が、米国ラボでは3000〜4000ドル(約48万〜64万円)に上がるとの推計もある。KickstarterやAmazon.comで米国向けに展開を考える個人開発者やハードウェアスタートアップにとって、製品コスト構造に直結する話だ。ただし日本国内のみで販売する製品は対象外で、技適マークの手続きにも影響はない。

FCCは試験ラボや認証機関に対し、認定試験に関わる従業員の人数と所在地の開示も義務付け、市場に出回った後の監視も強化する。違反や安全保障上の懸念を業界関係者が機密扱いで報告できる窓口も新設される。並行して、中国移動・中国電信・中国聯通の米国内データセンター運用を禁じる提案も3対0で前進させており、米国の通信機器サプライチェーンから中国系企業を切り離す動きが鮮明になっている。今後はパブリックコメント期間(60〜90日)を経て、最終規則と移行期間が確定する。

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FabScene編集部

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