
スペインのエンジニアAlejandro Cabrerizo氏は、VR向けフルボディトラッキングシステム「FluxPose」のKickstarterキャンペーンを開始した。磁気センシング技術を採用し、ベースステーションなしで体の位置と向きを追跡できる。トラッカー1個あたり15gと軽量で、バッテリー駆動時間は最大24時間。
FluxPoseは、腰に装着する「ビーコン」が磁場を生成し、各トラッカーがその磁場を検知して3D空間内の位置と回転を把握する仕組みだ。VRヘッドセットにもトラッカーを1つ取り付けることで、ヘッドセットのトラッキング空間と自動的に同期する。ビーコンを身に着けているため、ユーザーが移動してもトラッキング範囲が一緒に動き、ベースステーションの設置や視界の確保が不要になる。
磁場を使うため、毛布をかぶっても、手が体の後ろに隠れてもトラッキングが途切れない。絶対位置を常に把握しているため、IMU方式で起こりがちなドリフトもなく、再キャリブレーションの必要がない。
15gの軽量トラッカー、最大24時間駆動

トラッカー1個の重量は15g。6DOFトラッカーとしては非常に軽量で、VRグローブへの装着にも適している。各トラッカーには小型OLEDディスプレイを内蔵し、バッテリー残量や装着部位を表示できる。振動モーターも搭載しており、SteamVRのハプティクスやOSCに対応する。
バッテリー駆動時間は省電力モードで最大24時間、バランスモードで12時間、高パフォーマンスモードで6〜7時間。充電ドックは専用ワイヤレスドングルを兼ねており、USB1本で接続と充電の両方を処理できる。PD充電器を使えば約1.5時間でフル充電が可能だ。
ワイヤレス通信は2.4GHz帯の1MHzチャンネルを使用し、1つのドングルで最大10台のデバイスを接続できる。
SteamVRやVRChat standaloneに対応
PC用ソフトウェアを起動すればSteamVRに自動認識される。VRChat standaloneでもOSC機能でトラッキングデータをストリーミングできる。Unity統合やWarudo対応も予定しており、開発者向けにSDKも提供する。
各トラッカーには3ピンのマグネットコネクターがあり、トラッキングデータの取得やワイヤレスでのデータ送受信が可能。自作VRコントローラーやロボットへの組み込みにも対応する。修理やカスタムファームウェアの導入も許容しており、3Dモデルやドキュメントを公開している。
対応ヘッドセットはMeta Quest 3、Quest Pro、Pico 4、Valve Index、HTC Viveシリーズなど。キット購入時にヘッドセットマウントが1つ付属し、追加マウントはアドオンで選択できる。
キットはトラッカー数に応じてLite、Core、Proの3種類。5年間の開発期間を経て300台以上のデバイスを製作し、世界中のベータテスターにキットを配布してテストを重ねてきたという。量産に向け、CE、FCC、TELEC(日本)などの無線認証取得と射出成形への移行を進めている。キャンペーンは2026年1月29日まで。
関連情報
FluxPose: An occlusion free 6DOF FBT tracking system(Kickstarter)

