
アメリカの大手航空エンジンメーカーのGE Aerospaceが、防衛技術企業のKratos Defense & Security Solutionsと正式なチーミング契約を締結し、次世代の無人航空機向け小型エンジンの開発を本格化させることを発表した。両社は2025年6月3日、手のひらサイズの高性能ジェットエンジン「GEK800」と「GEK1500」の共同開発に着手すると発表した。
この提携により、従来の軍用機とは一線を画す低コストで使い捨て可能なターボファンエンジンが実現する。開発されるエンジンは、無人航空システム(UAS)や協働戦闘機(CCA)、類似のアプリケーション向けに設計される。特にGEK1500は、1,500ポンドの推力を発生させながら、再利用可能な無人航空機への搭載を想定している。
実績ある企業同士の戦略的パートナーシップ
今回の正式契約は、昨年締結された覚書(MOU)を拡張する形で実現した。Kratosは20年以上にわたって無人航空システム、ドローン、ミサイルプラットフォーム向けの小型で手頃な価格のエンジン開発・製造の実績を持つ。一方、GE Aerospaceは1世紀にわたる推進技術の専門知識と、先進設計を大量生産に展開する能力を有している。
GE AerospaceのDefense & Systems部門のプレジデント兼CEOであるAmy Gowder氏は「このチーミング契約の正式化と新エンジンの開発開始は、将来の軍事力に向けて手頃で適応性があり高性能な推進システムを提供するという我々の取り組みにおける重要な一歩」と述べている。
次世代戦闘への対応を見据えた技術革新
両社が開発する小型エンジンは、アメリカ国防総省の幅広い次世代防衛アプリケーションに対応する、手頃な大量推進ソリューションの提供を目指している。特に協働戦闘機(CCA)のような新たなカテゴリーの再利用可能無人システムのニーズに応えることを想定している。
Kratos Turbine Technologies(Kratosの一部門)のプレジデントであるStacey Rock氏は「コスト効率の高い設計でありながら、この分野の使い捨てターボジェットより優れた性能を実現している」と強調した。開発されるエンジンは、モジュラー方式の低コスト製造アプローチを採用し、大量生産に適した設計となっている。
GEK1500のプロトタイプデモンストレーションは来年に予定されており、両社は試作品から実戦配備までのギャップを埋めることを目指している。この協力により、現代戦の進化する要求に応える拡張可能な推進技術の提供が期待される。