
中国のネットワーク機器メーカーGL.iNetが、Wi-Fi 6に対応した遠隔操作デバイス「Comet Pro」を開発し、クラウドファンディングで資金調達を開始した。このデバイスは離れた場所からコンピューターを完全に操作できる無線機器で、4K映像の転送機能と低遅延を実現している。
KVM(Keyboard, Video, Mouse)は、複数のコンピューターを1つのキーボード、マウス、モニターで制御する技術だが、「Comet Pro」はこれを無線化し、遠隔地からでもコンピューターを完全に制御できるようにした。デスクトップKVMデバイスとしては初めて2.4GHzと5GHzの両方のWi-Fi帯域をサポートし、有線LANケーブルを必要としない柔軟な運用を可能にしている。
4K映像と低遅延を両立

Comet Proの技術仕様は、クアッドコア「ARM Cortex-A53」プロセッサー、32GBのeMMCストレージ、1GBのDDR3メモリを搭載している。映像出力は4K@30FPSのパススルーに対応し、H.264ハードウェアエンコーディングにより30〜60msの低遅延を実現している。
デバイス本体には2.22インチのタッチスクリーンディスプレイを内蔵し、Wi-Fiネットワークへの接続やクラウドサービスの有効化などを直接操作できる。接続ポートにはUSB Type-C、HDMI入出力、Ethernetポート、USB 2.0を備え、双方向の音声通信にも対応している。
セキュリティ機能として2要素認証、4桁のハードウェア画面ロック、「Wireguard」VPNサポートを提供し、企業環境での利用も想定している。また、「Tailscale」との統合により、WindowsやmacOS以外の制御デバイスからもアクセスできる。
専用アプリとクラウド管理
GL.iNetは専用の「GLKVM」アプリをWindowsとmacOS向けに提供し、複数のComet Proデバイスを一元管理できる。さらに、glkvm.comでのWebベースクラウド制御システムも用意し、アプリケーションのインストールなしでデバイスにアクセス可能だ。
オプションアクセサリーとして、電源ボタンを物理的に押すことができる「Fingerbot」や、完全シャットダウン状態からの起動・管理が可能な「ATX Board」を提供する。これにより、システム管理者やリモートチームが遠隔地からでも包括的なシステム制御を実行できる。
同社は2010年設立で、380人以上の従業員を抱え、15年以上にわたりネットワークハードウェアとソフトウェアソリューションを提供している。Comet Proの製造は2025年11月から開始し、12月に初回出荷を予定している。