
米国の連邦陪審は2026年1月30日、元GoogleソフトウェアエンジニアのLinwei Ding氏(38歳)に対し、企業秘密窃盗と経済スパイ合わせて14件の罪で有罪判決を下した。11日間の裁判で、Ding氏がGoogleのAIチップ技術に関する2000ページ以上の機密情報を持ち出したことが認定された。Ding氏は2019年から2024年初頭までGoogleでソフトウェアエンジニアとして勤務し、AIモデルの学習に使われる大規模システムの開発を担当していた。
裁判で明らかになった内容によると、Ding氏が持ち出した情報には、GoogleがAI開発に使用している専用チップシステムの設計資料が含まれていた。具体的には、GoogleのTPU(Tensor Processing Unit、AI計算専用チップ)の内部仕様、数千台のGPUを接続して大規模AIモデルを学習させるシステムの構成、チップ間を高速接続するネットワーク技術SmartNICの設計情報などだ。これらの技術は、GoogleがChatGPTのような大規模言語モデルを開発・運用するために独自に構築したインフラの中核部分にあたる。
Ding氏は2022年5月から2023年4月にかけて、社内システムから情報を取り出し、個人のGoogle Cloudアカウントに保存していた。具体的には、機密情報をMacBookのメモアプリにコピーし、PDFに変換してアップロードするという方法で検知を回避していた。2023年12月、GoogleがDing氏の別の情報持ち出しを検知し、調査を開始した。Ding氏は当初、「自分の業績証明のため」と説明し、削除を約束する書類に署名したが、過去の大規模な持ち出しについては報告しなかった。その後、Googleが調査を進めた結果、2022年5月以降の1000件以上のファイル持ち出しが判明した。
検察側の主張によると、Ding氏は情報持ち出しと並行して、中国でAI関連のスタートアップ2社に関与していた。2022年6月以降、Ding氏はAI計算の高速化ソフトウェアを開発する企業でCTO候補として活動していた。2023年には自身でAI計算システム開発を目的とする企業を設立し、投資家向け資料で「Googleの技術を参考に、より優れたシステムを構築できる」と説明していたという。Googleには両社への関与を一切報告していなかった。
Ding氏は企業秘密窃盗の各罪で最大10年、経済スパイの各罪で最大15年の懲役刑に直面している。量刑は今後の審理で決定される。米国司法省は、AI技術に関連する経済スパイ罪での有罪判決は今回が初めてだとしている。

