自重の100倍を持ち上げる空気圧式人工筋肉をアリゾナ州立大が開発

FabScene(ファブシーン)

今のロボットの多くはモーターで動いている。モーターは力を出そうとすれば重くなり、軽く作ろうとすれば力が落ちる。そのトレードオフを崩す「人工筋肉」を、米アリゾナ州立大学(ASU)が開発した。論文はProceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)誌に2026年3月27日付けで掲載されている(DOI: 10.1073/pnas.2529273123)。

「HARP(Helical Anisotropically Reinforced Polymer)」と名付けられた人工筋肉は、螺旋状に巻いたポリマーチューブでできている。ショートパスタに似た形で、空気を少し吹き込むと縮む。それだけで自分の重さの100倍を持ち上げられる。縮み率は最大75%で、同じ重さのモーター駆動機構と比べても圧倒的に軽い。

既存の人工筋肉の多くは特定の用途に合わせて設計されており、別の場面では使いにくかった。HARPは螺旋の巻き方・チューブ素材・内部のコア素材を独立して選べる構造になっており、用途に応じて性能を調整しやすい。コア素材を耐熱性の高い形状記憶合金(ニッケルチタン)にすれば沸騰水の中でも動き続け、産業用の洗浄工程や海底の熱水噴出孔近くの探査にも使えるとしている。

研究チームはHARPを4本の脚に使った小型ロボットを試作し、外部電源なしで自立歩行できることを確認した。従来の4脚ロボットは重いモーターを搭載していたが、HARPは本体に電源を積んでも十分に動けるほど軽量だった。また、象の鼻を模した曲げやすいアームにも応用しており、工場内での障害物を避けながらの作業や農業での受粉作業への利用も検討している。

設計ファイルや製作ガイドはGitHub(sunroboticslab/HARP)でオープンソース公開されており、誰でも手元で試作できる状態になっている。

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