ハーバード大が膝模倣ロボット関節を開発、位置ずれ99%補正で保持力3倍に

FabScene(ファブシーン)

米Harvard大学の研究チームが、人間の膝を模倣した新しいロボット関節の設計手法を開発した。この手法により、関節の位置ずれが99%改善され、ロボットグリッパーの保持力が従来の3倍に向上した。

研究チームは、ローリングコンタクト関節と呼ばれる機構を最適化した。これは2つの曲面が転がりながら滑り合い、柔軟なコネクタで結合される構造だ。従来の円形の関節とは異なり、タスクに応じて不規則な形状を設計できる。

「ロボットに何らかのタスクがある場合、どこで力を出力すべきかを考えられる。その判断をロボットの力学構造に組み込めば、より効率的なロボットを作れる。小型のアクチュエーターで済むようになる」と、第一著者でHarvard John A. Paulson School of Engineering and Applied SciencesのColter Decker博士課程学生は述べた。

膝のような関節で実験を行ったところ、最適化された関節は標準的な関節と比較して99%の位置ずれを補正した。2本指のロボットグリッパーでは、同じアクチュエーター入力で従来の円形関節やプーリーを使ったものと比べ、3倍以上の重量を保持できた。

この手法の特徴は、特定の軌道に沿った力の伝達比率を数学的に設計できる点だ。「特定の軌道と力の伝達比率が決まれば、それらの特性を持つ曲面とプーリーを見つけられる。歩行、跳躍、把持といったタスクに合わせて関節を最適化できる」とDeckerは説明した。

研究を主導したRobert J. Wood教授は「運動制御をできるだけロボットの力学構造と材料に任せ、制御システムはタスクレベルの目標に集中できるようにしたい。Colterの手法はまさにそれを実現し、数学的にも機械的にも非常にエレガントだ」と述べた。

この技術は、ソフトロボットグリッパーの改良から生まれた。グリッパーは対象物を優しく包み込みながら強い力を加える必要がある。剛性リンクと柔軟関節を組み合わせることで、人間の四肢の骨と軟骨を模倣した。

応用範囲は広く、補助デバイス、外骨格、ヒューマノイドロボット、動物の生体力学研究などへの展開が期待される。各関節を特定の動作に合わせて調整でき、効率と性能を最大化できる。

この手法は、複雑な動作問題をソフトウェアだけでなく、力学構造そのもので解決する方向性を示している。研究成果は「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載された。

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Proceedings of the National Academy of Sciences論文

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FabScene編集部

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