
Honeywellは2025年10月28日、農業廃棄物や森林廃棄物から再生可能燃料を製造する新技術「Biocrude Upgrading process technology」を発表した。木材チップや作物残渣といった安価で豊富なバイオマス原料から、海洋燃料、ガソリン、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、SAF)を生産する。
海事産業向けの燃料は、従来の重油に代わる低炭素の代替燃料として使用できる。多くのバイオ燃料と比較して高いエネルギー密度を持ち、エンジンの改造を必要としない「ドロップイン燃料」として、船舶の航続距離を延長できる。
同技術では、植物や農業廃棄物を原料収集地点でバイオクルード(生物由来の粗油)に変換するため、輸送コストを低く抑えられる。その後、Honeywellの新しいプロセス技術によりバイオクルードを大規模施設で精製し、海洋燃料、ガソリン、SAFを製造する。バイオクルードから従来の燃料と同等の性能を持つ燃料への変換における長年の課題を解決した。
Honeywell Energy and Sustainability SolutionsのKen West氏は、海事産業には即座に利用可能でコスト効率の高い再生可能燃料が必要とされており、同技術はモジュール形式で提供できるため、設置から精製、使用に至るまでコスト削減が可能だと述べている。
同技術は、プレハブ式モジュラープラントの形式で提供される。これにより、現場での建設作業を簡素化し、顧客のリスクを軽減しながらプロジェクトのスケジュールを加速できる。
海事産業は顧客の要求や規制により、二酸化炭素排出量の削減を求められている。1960年代以降、重油は海事セクターの主要エネルギー源であり、世界の温室効果ガス排出量の約3%を占める主要な原因となっている。

