
防衛装備庁陸上装備研究所は2025年6月から7月にかけて、試験艦「あすか」を使用した電磁加速システム(レールガン)の洋上射撃試験を実施した。日本国内でレールガンの洋上射撃試験が行われるのは初めてとなる。今回の試験は早期装備化に向けた取組みとして実施され、船舶への被弾状況の確認とレールガン用弾丸の過渡弾道特性および砲外弾道特性の把握を目的とした。
試験に使用されたレールガンは口径40mm、全長約6m、質量約8tで、充電エネルギーは5MJとなっている。レールガンは2本の砲身レールの間に電機子を配置し、大電流を流すことで発生する磁界と電流の相互作用によるローレンツ力で弾丸を加速する仕組みだ。電源として20フィートコンテナ4台分のコンデンサバンクを使用している。
平成28年度から令和4年度にかけて実施された電磁加速システムの研究により、弾丸初速2300m/s以上、レール耐久性200発以上を達成していた。今回の洋上試験では、この装置を船舶の動揺に対応するための補強や海水飛沫対策、砲身を守るためのシェル追加、俯仰機能の追加などの改修を施した上で、試験艦「あすか」の後部飛行甲板に搭載した。
使用された弾丸は装弾筒、電機子、弾心の3つの部品で構成される。砲口離脱後に装弾筒が分離し、弾心のみが標的に向かって飛しょうする仕組みとなっている。
試験は2種類実施された。1つ目は野島埼南方海域で行われた標的船射撃試験で、試験艦と曳航船が一定距離を保ちながら併走する中、レールガン下部に装着したガンカメラで目視照準し標的船に射撃を行った。試験の結果、標的船に複数発が命中し、船内に設置したカメラ映像と評価板により被弾状況を確認した。弾痕から徹甲弾の飛しょう姿勢も把握できたという。
2つ目は八丈島南東方海域で実施された弾道特性試験で、射角0度と45度の2条件で洋上に向けて射撃を行った。ハイスピードカメラと弾道レーダーにより、弾丸が砲口を離れる直前から大気中を定常飛しょうするようになるまでの過渡弾道特性と、砲外弾道特性を把握するためのデータを取得した。

レールガンは電気エネルギーを利用して弾丸を発射する将来砲で、火薬を用いた従来砲と比較して原理的に弾丸初速の大幅な増大が可能とされる。防衛装備庁のロードマップでは、現在の単射段階から、今後は連射機能、砲外の安定飛しょう、射撃管制などの研究を経て、最終的にはプラットフォームに合わせた装備品の研究開発を目指すとしている。また、電源の小型化に向けて民生技術の橋渡し研究も並行して進める計画だ。
防衛装備庁は今回の洋上試験で得られた実データを、今後のレールガン研究に活用するとしている。
試験の実施体制は、海上自衛隊の開発隊群技術評価開発隊が試験遂行と協力全般を担当し、防衛装備庁の陸上装備研究所試験隊が連携協力する形で行われた。

