四脚ロボットが難所で転倒しやすい根本的な理由は、「感じてから動く」という制御の限界にある。内部センサー(固有受容感覚)だけに頼る場合、ロボットは前足が段差に当たって初めて階段の存在を知る。つまり、毎回ぶつかりながら適応するしかない。視覚センサーを加えれば障害物を事前に把握できるが、正確な地形マップを常に更新し続ける必要があり、屋外の変化する環境では処理が追いつかなかった。
韓国科学技術院(KAIST)の研究チームが、この2つのアプローチを統合したマルチモーダル強化学習フレームワーク「DreamWaQ++」をIEEE Transactions on Robotics誌(2026年、Vol.42、pp.819-836)に発表した。
システムは固有受容感覚(関節位置・接触力)と外受容感覚(3Dポイントクラウド、カメラまたはLiDAR)をリアルタイムで融合し、軽量なミキサーモジュールを通じて単一のニューラルネットワーク制御ポリシーに統合する。1つの制御ポリシーが階段・急斜面・不整地・ギャップなど多様な地形に対応し、特定シナリオのための個別チューニングは必要ない点が特徴だ。センサー故障時もフォールバック動作で走行を継続できる耐障害性も持つ。
実機テストでは際立った結果が出た。50段の階段(水平30.03m、高低差7.38m)を35秒で踏破した。固有受容感覚のみのベースラインDreamWaQは20mで力尽き、Unitree社の標準コントローラーは6mで失敗した。DreamWaQ++は階段を事前に「見て」から足の振り出し軌跡をプロアクティブに調整するのに対し、視覚なしのモデルは段差の縁を引きずりながら進む。
UnitreeのGo1ロボットに2.5kgのペイロードを積んだ状態での高さ41cmのソファー登攀、35度の急斜面歩行、変形する不安定な地形への適応なども確認された。Go1、Unitree A1、ANYmal-C、KAISTが開発したHoundと、4つの異なるハードウェア構成で検証されており、センサー構成が変わっても同一フレームワークが動作する。