
膝関節に装着して歩行をアシストするウェアラブルデバイス「Dnsys Z1」が2025年7月23日、クラウドファンディングサイトKickstarterに登場した。同製品は最大900Wのモーター出力により歩行や登山時の膝への負荷を最大77ポンド(約35kg)軽減できる外骨格デバイスだ。
開発元のDnsysによると、Z1は太ももとふくらはぎの両方に力を伝達する独自設計により、使用者の体重の最大200%にあたる膝への圧力を軽減できる。重量は1.5ポンド(約680g)で、装着時間は15秒程度となっている。また、立ち上がりやジャンプなどの垂直方向の動作では、最大44ポンド(約20kg)の上向きサポート力を提供する。
AIによる動作予測システムを搭載
Dnsys Z1には、DNNAS(Dynamic Neural Network Assist System)と呼ばれるAIシステムが組み込まれている。このシステムは400人以上の専門テスターから収集した1500時間以上の動作データを基に訓練されており、ユーザーの動作を0.01秒以内に予測して適切なアシストを提供する。
デバイスは歩行、走行、ジャンプ、しゃがみ込み、座位、立位といった動作パターンを自動識別し、平地、坂道、階段、トレイル、森林、砂利道など様々な地形に適応する。使用時間が長くなるほど個人の歩行パターンを学習し、よりパーソナライズされたサポートを提供する仕組みだ。
バッテリーは最大4時間の連続使用が可能で、KERS(Kinetic Energy Recovery System)により下り坂での回生充電機能も備えている。USB-C PD急速充電に対応し、8分間の充電で約20%の容量回復が可能としている。
登山やスキーなど多用途での活用を想定
Dnsysは登山愛好者、サイクリスト、旅行者、バックパッカー、ハンター、スキーヤー、写真家、日常スポーツ愛好者など幅広いユーザー層での活用を想定している。特に膝に負担のかかる登山では、垂直方向に9.3マイル(約15km)、水平方向に15.5マイル(約25km)の移動距離延長効果があるとしている。
同社は2021年にDJI、Segway、Xiaomiの元ロボティクス専門家によって設立され、2024年4月には腰部用エクソスケルトン「Dnsys X1」のクラウドファンディングで150万ドル以上を調達した実績がある。Z1は膝関節に特化した製品として、X1と組み合わせて使用することも可能だという。
KickstarterでのZ1の早期支援価格は699ドルからで、製品出荷は2025年11月を予定している。IP54防水規格と-20度Cまでの耐寒性能を備え、1年間の保証が提供される。