
ハリウッドの特殊効果スタジオLegacy Effectsが、映画「Superman (2025)」の制作においてBambu LabのFFF(熱溶融積層)3Dプリンター「X1C」を製造ワークフローの中核に組み込んだ。Bambu Labが2026年3月26日に公開したケーススタディで詳細が明らかになった。
同スタジオはこれまでStratasys・WASP・Raise3D・Markforged等の産業用機を使い分けてきたが、いずれも「速さか仕上がり品質か」のトレードオフを抱えていた。FFFでは試作品レベルの造形しか得られず、撮影本番に使える部品にはSLA(光造形)やMJF(マルチジェット融合)が必要で、工数とコストがかさんでいたという。
転機となったのはHammer of Boravia(悪役の鎧)の試作テスト。X1Cで出力したパーツが速さと表面品質を両立し、「試作品としてだけでなく、場合によっては最終品として使える品質」とスタジオが内部評価した。その後、X1C複数台を導入し、FFF製造の大部分をBambu Labプラットフォームへ移行した。

映画内での具体的な活用事例は幅広い。Hammer of BoraviaとLexCorp Raptorsのスタント用全身スーツは複数パーツに分けてFFFで出力し、スタントパフォーマーに実際に着用して可動域や衝突点を検証した。問題があれば当日中に該当パーツだけ修正して再出力できた。
Mr. Terrificの変形飛行チェアは、FFF出力の構造部品とMJF出力の関節・金属部品を組み合わせたハイブリッド構造で制作。出力後に研磨・プライマー・塗装を施し、反射感のあるヒーロー仕上げに仕上げた。同キャラクターのT字型マスクはTPU(95A)で出力し、最終素材のシリコン版を製作する前にアクターの表情の動きに合うかをフィット検証するために使った。要塞(Fortress of Solitude)のアニマトロニクスロボット「Gary」の内部ブラケットと関節は、まずPLAで素早く試作し、公差と負荷が確定した段階でPA-CF(炭素繊維強化ナイロン)に移行。従来の金属部品より軽量化でき、複数部品を1つの統合ジオメトリに集約できた。

映画に登場するMr. TerrificのT字型マスク。Bambu Labの3DプリンターでTPU素材を使用してプリントされたもの。画像出典元:Bambu Lab
ワークフロー上のメリットとして、デジタルスカルプトや粘土のスキャンデータをそのままプリンターに渡せるため、現場での再解釈が不要になった。エンジニアリングチームが1日に5〜6回のパーツ改訂を行うことも珍しくなく、金型・美術チームと並行して作業できるようになったという。なお、本番セット上でのプリントパーツの破損ゼロが重要な達成指標として挙げられている。
Bambu LabのXシリーズは法人向けに提供されているシリーズ。現在は後継機に当たる「X1E」が45万8000円(税込・直販サイトの価格)で販売中だ。

