
米Lockheed MartinのSikorskyが2025年10月6日、垂直離着陸(VTOL)が可能な無人航空機(UAS)の新シリーズ「Nomad」を発表した。ヘリコプターの汎用性と固定翼機の速度・航続距離を組み合わせた設計で、小型から大型まで用途に応じたスケール展開が可能な点が特徴となっている。
滑走路不要で自律飛行可能なドローンシリーズ
Nomadは双発ティルトローター設計を採用し、垂直離着陸、ホバリング、そして固定翼による長時間巡航が可能だ。Sikorskyの自律飛行技術「MATRIX」により操縦され、小型から中型モデルではハイブリッド電気推進システムを、大型モデルでは従来型駆動システムを搭載する。
最大の特徴は、サイズを柔軟に調整できる拡張性の高い設計思想にある。Sikorskyのリッチ・ベントン副社長兼ゼネラルマネージャーは、小型のグループ3 UAS(25〜600kg)からBlack Hawkヘリコプターに匹敵するサイズまで拡張可能であると説明している。陸上・海上双方での任務に対応し、防衛、国家安全保障、林業、民間組織など幅広い分野での活用が想定されている。
Sikorskyは2025年3月に、翼幅3.1mのプロトタイプ「Nomad 50」の長時間飛行試験に成功したことを発表している。現在は翼幅5.5mの「Nomad 100」を製造中で、数カ月以内の初飛行を予定している。Nomad 100はグループ3に分類され、偵察、軽攻撃、補給物資輸送などの任務を想定している。
Nomadシリーズに搭載されるMATRIX技術は、Sikorskyイノベーションズと米国防高等研究計画局(DARPA)が開発したオープンシステムで、回転翼機と固定翼機の両方にシームレスに統合できる。空中消火、物資補給、先進的な空中機動など、さまざまな用途で実証済みだ。