「ろ過フィルター不要」の浄水装置を高校生が自作、磁石に引き寄せられる液体でマイクロプラスチックを95.52%除去

FabScene(ファブシーン)

ペットボトルの水1リットルには平均24万個のマイクロプラスチックが含まれるとも言われており、がんや神経変性疾患、ホルモン異常との関連が指摘されている。しかし一般的な浄水器は定期的なフィルター交換が必要で、維持コストが高い。この問題を解決しようと、米バージニア州のMountain Vista Governor’s School在籍の高校生Mia Heller氏が、フィルター交換不要の浄水装置を自作した。

装置の仕組みはシンプルだ。磁石に引き寄せられる性質を持つ特殊な液体「フェロフルード(磁性流体)」をマイクロプラスチックで汚染された水の中に混ぜ込む。フェロフルードはマイクロプラスチック粒子にくっつき、磁石(磁気ドラム)を近づけるとプラスチックごと水中から引き離される。分離されたフェロフルードは自動的に回収され、繰り返し使える仕組みだ。消耗品は不要で、フィルター交換の手間がかからない。

Heller氏が工夫したのはフェロフルードの自作だ。市販のフェロフルードは高価なため、キャノーラ油を原料に低コスト・低粘度のものを自ら配合した。装置はCADソフトで設計し、3Dプリンターで試作。水の汚れ具合を測れるセンサーも自作して性能を測定した。試験では、ペットボトル素材として使われるPETプラスチックの粒子を95.52%除去し、フェロフルードは87.15%を回収・再利用できることを確認した。一般的な浄水処理施設のマイクロプラスチック除去率が70〜90%程度とされる中、同等以上の性能を達成している。

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プレゼンテーション動画内の3Dデータ図面。キャプションからTinkerCADで設計したと推測できる

Heller氏が住むバージニア州Warrentonでは、地域の水道水にマイクロプラスチックや有害物質が含まれることが以前から問題になっていた。行政による対策資金は見込めず、自宅に市販の浄水器を設置した母親がフィルターを頻繁に交換するのを見ていたことが、この研究の出発点だ。本装置は2025年のRegeneron国際科学技術フェア(世界最大規模の高校生向け科学コンテスト)で最終選考に進み、米国特許商標庁協会から特別賞を受賞した。今後は第三者機関での性能評価を経て実用化を検討するとしている。

関連情報

Regeneron ISEF 2025 プロジェクトページ(ENEV053)
ISEF 2025 発表動画(YouTube)

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