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米MITがチップ内の熱の流れをX線で測る手法を開発、しわ1本で熱伝導が4分の1に

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、電子部品の内部を熱がどう流れるかを1μm刻みで追う測定手法を実証した。1μmは1mmの1000分の1にあたる。レーザーで一点を温め、そこにX線を当てて結晶の伸びを読み取る組み合わせで、何層も重なった構造の内側まで見通せる。窒化ガリウムの薄膜で試すと、製造工程で入った幅1μmほどの「しわ」を境に、熱の伝わりやすさが4分の1に落ちていた。

チップの性能を上げる作業は、突き詰めればトランジスタを狭い面積に詰め込む作業になる。ただし素子どうしが近づくほど動作中の発熱は増え、逃がすべき熱も増える。ノートパソコンが熱くなるのは身近な例で、データセンターの規模ではサーバーの冷却に膨大な電力が要る。熱を効率よく運べる材料を探すことが、電力密度の高い機器を作る前提になっている。

ところが従来の測定手法は、実際のデバイス構造を苦手としてきた。広く使われる時間領域サーモリフレクタンス法は光を使うため層ごとの区別がつかず、全体をならした信号しか取れない。共同責任著者のJeehwan Kim氏は、実際のデバイスは5層以上あり、表面より下に埋もれた層で起きる熱の移動が見えにくいと説明する。赤外線カメラも、微小なスケールを追うには撮影が遅すぎる。

研究チームはアルゴンヌ国立研究所の放射光施設Advanced Photon Sourceで実験した。波長343nmのレーザーを400フェムト秒だけ当てて試料の一点を温め、そこへエネルギー11keVのX線を当て、結晶格子の間隔がどれだけ広がったかを回折の角度から読み取る。1フェムト秒は1000兆分の1秒にあたる。格子の伸びは温度に比例するので、そのまま温度計として使える。X線を選んだのは、光と違って何層も透過し、格子のごくわずかな変化まで拾えるからだ。レーザーの照射点とX線の照射点を1μm刻みでずらしながら測れば、熱が横方向へ広がる様子を時間を追って組み立て直せる。

試料には、シリコン基板の上に厚さ500nmの窒化ガリウム薄膜を貼り付けたものを使った。窒化ガリウムはパワー半導体で熱を逃がす材料として期待されてきたが、成膜や転写の工程で入る欠陥のせいで性能が落ちる点が課題だった。欠陥のない領域では熱の伝わりやすさを示す熱伝導率が92.8W/mKだったのに対し、しわの近くでは21.2W/mKまで下がった。薄膜とシリコンの境目を熱が通り抜ける度合いも、しわの近くでは25%低い。しかも熱の流れ方は左右で非対称になり、しわを越える向きと越えない向きで伝わりやすさが違った。

共同責任著者のMingda Li氏は、熱の放散を計算する際にこれまでは欠陥のない完全な結晶を前提にしてきたと述べ、原子数個分の薄さの材料ではしわのような大きな欠陥が珍しくないにもかかわらず、どれだけ熱がせき止められているかは分かっていなかったと指摘する。研究チームは、金属の膜を貼らずに測れる点や試料を壊さない点を挙げ、埋もれた界面を持つ多層構造の評価に向くとしている。Li氏によれば、半導体業界の主要な団体から、別の種類のチップへ同じ手法を使う共同研究の打診が既に届いている。成果は2026年7月29日、学術誌Nature Communicationsに掲載された。

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FabScene編集部

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