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インコが5種類の繊維を選別、手を止まり木に変えるウェアラブルを製作

飼っているインコが、いつも手や肩に止まってくる。米コーネル大学のNanyi Jiang氏らは、その日常から出発して、手そのものを止まり木に変える装着型デバイス「NomadicPerch」を作った。羊毛や植物繊維をフェルトにして指から手首までを覆い、鳥が足を乗せた位置と強さをセンサーで検知してLEDの色で示す。成果は2026年6月、デザイン分野の国際会議ACM DIS 2026の併催論文集に掲載された。

飼っているのはワカケホンセイインコで、名前はShiso(シソ)という。ケージの中の木製やプラスチックの止まり木だけでなく、パソコンの画面の縁や椅子の桟、スマートフォンの端まで、この鳥は自分で止まる場所を選ぶ。飼い主が机に向かうときも、料理をするときも、部屋を歩くときも、手や腕や肩に乗ってくる。「手を止まり木として使う」関係は、装置を作る前からすでに成立していた。狙ったのは新しい止まり木を用意することではなく、すでに使われている手を、素材と構造を持つ道具として作り直すことだった。

制作にはフェルトの技法を選んだ。糸がほつれて絡まると、鳥の脚を傷つける危険があるためだ。最初の試作は、フェルト製の指人形のような、表面が平らな指サック型だった。ところがShisoは、これにほとんど興味を示さず、乗ろうともしなかった。

この空振りが、設計を大きく動かすことになる。まず、換羽で抜け落ちたShiso自身の羽根を編み込んで、見慣れた要素を足した。次に掴みやすさを狙って、ケージの構造をまねた格子状の形に変えた。羊毛の色も何種類か試した。さらに「羊毛の匂いを嫌っているのではないか」という推測から、野生の鳥にとって身近であろう植物繊維へと素材の探索を広げていった。

最終的に比較したのは、羊毛のほかヘンプシルバー、イラクサ、シーセル、亜麻トウの4種類の植物セルロース繊維だ。評価の軸は、装着する人間にとっての柔らかさ、作り手にとってのフェルトのしやすさ、鳥にとっての魅力の3つ。柔らかさは羊毛とシーセルが最も高く、イラクサ、ヘンプシルバー、亜麻トウと続いた。フェルトのしやすさも羊毛が最良で、シーセルは時間はかかるが平らな面を作れた。3つ目だけは本人に聞けないため、同じ形の試作を素材違いで用意し、Shisoが触れる頻度と時間を記録して比べている。

注目したいのは、噛んで壊す行為の扱い方だ。Shisoが繊維をほぐし、取り付けた部品を分解する行為を、チームは「破損」ではなく「引き算による製作」と位置づけた。繊維のほぐれ具合、取り付けの強度、表面の密度は、いずれもこの介入を受けて調整されている。鳥は完成品を試す立場ではなく、素材を扱う側として制作に加わったという整理だ。

電子部品の配置も同じ考え方で決まった。Shisoが握る力、噛みつく場所、着地の癖が、構造の弱い部分を次々に露呈させる。センサーと補強材は、そうして見つかった箇所に置かれていった。完成した装置は、指から手首までを覆うフェルト構造に、着脱できる付属部品と検知素子を組み込んだ形だ。足をどこにどれだけ乗せているかをLEDの色で示す機能は、ふだん人が気づきにくい鳥の動きを見えるようにする仕掛けになっている。

論文は限界も率直に書いている。Shisoが亜麻トウの部品に繰り返し関わったことが、気に入ったからなのか、壊そうとしたからなのかは判別できない。鳥は言葉ではなく体の動きで伝えるため、この曖昧さは残り続ける。チームはこれを手法の欠陥とせず、関係が続いていく過程そのものだと捉えている。制作はコーネル大学の授業「Future Body Craft」の課題として進められた。

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FabScene編集部

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