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ノズルを波打たせるだけで炭素繊維の造形物が強くなる、米大学が実証

米マイアミ大学と米空軍研究所の研究チームが、3Dプリンターのノズルを波打つように動かすだけで、炭素繊維入りの造形物の性質を場所ごとに変えられることを示した。材料もノズルも造形物の形も変えず、書き換えたのは経路だけだ。曲げの試験では、吸収するエネルギーが平均で10%増え、最大の強度はほとんど落ちなかった。成果は2026年8月3日、学術誌『Progress in Additive Manufacturing』にオープンアクセスで掲載された。

使ったのはダイレクトインクライティングと呼ぶ造形法だ。粘り気のある材料をノズルから押し出して積む方式で、短く切った炭素繊維を混ぜたエポキシ樹脂を材料にする。押し出す際にノズルの壁で材料にせん断力が働き、繊維が押し出し方向にそろう。結果として、造形物は繊維の向きに強く、それと直交する向きに弱い、偏った性質を持つ。

研究チームは、偏りをノズルの動かし方で崩せることに気づいた。まっすぐ引く代わりに、正弦波を描くように左右へ振りながら引く。振れ幅を大きくしていくと繊維の向きはばらけていき、さらに大きくすると今度は横向きにそろい始めた。つまり、そろえる、ばらけさせる、向きを変える、の3つをGコードだけで選べる。

検証では、振動の周期を一定にしたまま振れ幅を0.125mmから2.000mmまで変え、13通りの条件を試した。ガラス板の上に線を1本ずつ引き、顕微鏡で撮って繊維の向きを数値化している。

次に、有限要素法で曲げたときの応力の分布を計算し、どこにどの向きを置くかを決めた。力が集中する場所には繊維をそろえた領域を、変形してエネルギーを逃がしてほしい場所にはばらけた領域を配した。試験片は120×13×3mmで、炭素繊維を体積比4.9%、ナノクレイを3.6%混ぜたエポキシのインクを使う。造形機はCreality Ender 5の駆動部を流用し、圧力で押し出す機構を組み合わせた自作だ。

3点曲げ試験では、繊維を全面でそろえた基準の試験片に比べ、吸収するエネルギーが約10%多かった。数字としては小さいが、追加した材料も部品もない。

課題も残る。ノズルを速く振ると加速度の限界にぶつかり、材料の押し出しが途切れることがある。狙った繊維の向きからのずれも生じる。そのため、計算で予想した性能より実物の値は低めに出た。研究チームは、炭素繊維の混入比率が低いことも、そろえた領域とばらけた領域の差が開かない要因だと指摘し、比率を上げればもっと差が出る可能性があるとしている。

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FabScene編集部

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