Raspberry Pi Picoで動作する超小型Macintosh「Pico Mac Nano」、高さ62mmのミニチュアサイズを実現

1984年にAppleから発売されたMacintosh 128Kを忠実に再現し、実際に動作する超小型のミニチュアコンピューター「Pico Mac Nano」が開発された。高さわずか62mmという極小サイズながら、Raspberry Pi Picoを使用して完全に動作するMacintoshを実現している。

このプロジェクトを手がけたのは、Makerとして活動するNick Gallard氏。同氏は、同じくMakerでエンジニアのMatt Evans氏が開発したRP2040ベースの「Pico Mac」プロジェクトにインスパイアされてこの開発を開始した。「こんなに小さなハードウェアでMacが動作するなら、どこまで小さく実用的なレプリカMacを作れるか」という発想から開発を進めたという。完成したPico Mac Nanoは5.5:1のスケールとなり、技術的にはバービー人形が使用する6:1スケールよりも小さいサイズを実現している。

高精細ディスプレイと精密な筐体設計

モニタには480×640ピクセルの解像度を持つ2インチTFTパネルのディスプレイ。画面を縦向きのまま使用し、480×342ピクセルで駆動する方式を採用した。2インチという小さな画面では32ピクセルの差は実用上問題にならないという判断によるものだ。

筐体はオリジナルのMacintoshケースを忠実に再現して3Dプリントで製作された。内部には2.0インチTFTLCDパネル、RP2040 Pico Zero MCU、micro-SDカードリーダー、カスタムPCBが収められている。

完全動作するミニチュアMac

Pico Mac Nanoは模型ではなく、コンピューターとして動作する。Gallard氏はPico Macのソースコードを更新し、LCDをSDカードモジュールと共有するSPIインターフェース経由で制御。480×342ピクセルのフレームバッファデータを出力できるようにした。また、Pico ZeroのビルトインNeo-pixel RGB LEDを使用し、起動時にはMacintoshの起動音を模倣した600Hzの矩形波を2つのGPIOから1秒間出力する機能も実装されている。

micro-SDカードリーダーは背面に配置され、USB-Cポートも背面に設けられている。これらの配置は、オリジナルのMacintoshでマウスとキーボードポートがあった位置とほぼ同じで、細部への配慮が感じられる。

さらに、Gallardはオプションのバッテリー電源モジュールも開発した。このモジュールはケースにフィットし、PCBに接続してUSB電源接続なしでPico Mac Nanoを動作させることができる。2.4GHz無線マウスとの組み合わせで完全ワイヤレス動作も可能だが、対応するマウスは限定的だという。

Gallardは3D設計ファイル、修正されたPico Macファームウェア、PCBガーバーファイルをGitHubリポジトリで公開している。また、キットと完成品の両方を「1-bit rainbow Macintosh parts store」で販売予定としている。

関連情報

プロジェクトページ(Hackaday.io)
GitHub
1-bit rainbow Macintosh parts store

FabScene編集部