20億ユーロ(約3700億円)の実証炉「Alpha」を起点に、世界初の商用ステラレータ核融合発電所の建設へ——独Proxima FusionがRWEらとMoUを締結

FabScene(ファブシーン)

独Proxima Fusionは2026年2月26日、ドイツのバイエルン自由州、電力大手RWE、独マックスプランク・プラズマ物理学研究所(IPP)との間でMoU(覚書)を締結した。目標は、ヨーロッパで世界初の商用ステラレータ型核融合発電所を系統に接続することだ。

ロードマップは2段階で構成されている。まず2030年代に、IPP近くのガルヒングで実証炉「Alpha」を稼働させる。Alphaはステラレータとして初めてネットエネルギーゲイン(消費エネルギーを上回るエネルギーを生成)を実証することを目指す炉で、総事業費は約20億ユーロ(約3700億円)の見通し。その後、Alphaで得た知見をもとに、商用発電所「Stellaris」をグンドレミンゲンに建設する予定だ。Stellarisの候補地は、RWEが廃炉作業中の旧グンドレミンゲン原子力発電所のサイトで、既存インフラを活用できる。

Proxima Fusionが採用するステラレータは、核融合の主流方式であるトカマクとは異なる形状の磁場閉じ込め装置だ。トカマクが電磁石と誘導電流を組み合わせてプラズマを閉じ込めるのに対し、ステラレータは外部磁場のみでプラズマを制御するため、連続運転に適しているとされる。一方で設計・製造の難易度が高く、トカマクより普及が遅れてきた。Proxima Fusionは2023年にIPPからスピンアウトしたスタートアップで、IPPの「Wendelstein 7-X」ステラレータの研究成果を基盤としている。

資金面では、Proxima Fusionが民間投資家から約20%、バイエルン州が20%程度(連邦政府の資金承認を条件)、RWEも財政参加の意向を示している。さらに、超電導磁石の製造工場を新設し、最大1000人の雇用を創出する計画もある。

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