Prusa ResearchがCoreXY構造の大型3Dプリンター「CORE One L」を発売、300×300×330mmの造形領域で精密製造に対応

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チェコのオープンソース3Dプリンターメーカーであるチェコ・Prusa Research a.s.は2025年11月7日、CoreXY構造を採用した大型3Dプリンター「Prusa CORE One L」を発表した。同社の高精度機種「CORE One」の技術を継承しつつ、造形領域を拡大したプロフェッショナル向けモデルで、製造現場や研究施設での利用を想定している。

造形領域は300×300×330mmで、本体サイズは従来機の約110%に抑えた。スチールフレームとアルミパネルによる高剛性エクソスケルトン構造を採用し、振動を抑制して静粛性と寸法精度を確保している。CoreXYメカニズムと独自のモーション制御により、大型造形でも高い再現性を実現するという。

温度ムラ±2℃以内の新型ヒートベッドを搭載

新開発のACコンベクションヒートベッドは、厚肉アルミ鋳造ブロックとデュアルファンによる強制対流構造を採用した。表面の99%で温度差±2℃以内の均一加熱を実現し、ABSやナイロン、PCといった熱収縮の大きい素材でも反りを最小化する。最大60℃まで制御可能な密閉チャンバーを備え、HVACや外部フィルタとの接続にも対応する。クリーンルームや研究施設など高精度環境下での運用を想定した設計だ。

エクストルーダーには高流量Bondtech CHTノズルを標準装備し、最大0.8mmノズルまで対応する。Input Shaper制御と金属製CoreXY構造により高速移動時の振動を低減し、高出力樹脂やエンプラ素材も安定して押し出せる。Prusa Slicer用に200種類以上の最適化済みフィラメントプロファイルを用意しており、試作から量産、研究開発まで幅広い用途に対応するとしている。

出荷時に完全キャリブレーション済みで、開梱後数分で初回プリントが可能だ。Prusa ConnectおよびPrusa Appによる遠隔監視・制御機能を標準搭載し、内蔵の1080pナイトビジョンカメラで状態をリアルタイムに確認できる。ノズル交換は30秒、ホットエンド交換は1分で完了し、ダウンタイムを最小化する設計となっている。オープンソースファームウェアとクラウド非依存設計により、セキュリティ要件の高い環境でも導入可能だという。

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造形サンプル。左からCORE One 、新型 CORE One L 、MK4S (画像出典元:プレスリリース)

企業や公共機関、研究施設向けには「Critical Infrastructure Edition」を用意した。Wi-Fiモジュールを着脱式とし、完全オフライン運用が可能だ。暗号化USBドライブと認証証明書付きマザーボードを標準搭載し、ネットワークを介さない安全なデータ管理を実現する。全ファームウェアはオープンソース化されており、監査・検証可能なセキュリティ設計を採用している。政府機関や医療施設、防衛・教育・研究分野など、高いコンプライアンス基準を求める環境での利用を想定した構成だ。

本体サイズは469×521×635mm、重量は約21.9kg。接続方式はUSBドライブ、LAN、Prusa Connectまたはモバイル版Prusa App経由のインターネット接続に対応し、完全オフラインモードでも動作する。1080pカメラ、サテンパウダーコートスチールシート、Bondtech CHTノズル、高流量ヒートベッド、オンライン講座アクセス、Prusament PLA 1kgなどが同梱される。

Prusa CORE One Lはすでに量産が開始されており、公式オンラインストアで注文可能だ。

関連情報

Prusa CORE One L製品ページ

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