米パデュー大学工学部の研究チームが、水中での進み方を任務の途中で切り替えられるロボットの試作機を開発した。海流に乗って漂う、翼で滑空する、スクリューで進むという3つの動き方を1台に収めている。同大学が2026年8月26日に発表した。
水中ロボットは通常、この3つのうち1つに合わせて設計される。漂流型は電力を使わずに流れへ乗れるが、目標の地点へ自力で向かえず、望まない経路に流されても戻れない。滑空型は長く動き続けられる一方、狭い場所や複雑な地形では動きづらい。スクリューを持つ型は思いどおりに動かせるが、電力の消費が速く、任務の時間が限られる。
研究を率いる産業工学のYu She助教は、動き方を変えられないと任務の効率と確実性が落ち、失敗することもあると説明する。運用側から見れば、費用がかさむ、活動時間が短くなる、集められるデータの範囲が狭まる、ロボットを失ったり挟まったりする危険が増える、といった形で表れる。用途ごとに専用の機体を何台も出す必要も生じる。極域や海洋の観測では、環境の変化を理解するためのデータの質と量が落ちることにつながるという。
試作機は、浮力の調節、内部の重りの移動、折りたたみ式の翼、推進機構を1つの構成の中で連携させた。漂流するときは浮力を変えて周囲の水の流れに乗る。滑空するときは浮力を変え、内部の重りを動かして機体の傾きを調整し、翼を開いて上下方向の動きを前進する力に変える。狭い場所から抜け出したいときや、その場にとどまりたいときは、スクリューと舵で直接動かす。
検証はプールで進めた。水中で翼の開閉機構が動くこと、浮力の調節で沈降と浮上ができること、スクリューで水平に進めること、浮力と傾きと翼の展開を組み合わせて滑空できることを確かめた。She助教は、主要な部分が水中で一緒に動き、狙った3種類の移動を示せたとしている。
現時点で動き方の切り替えは手動だ。エネルギーの消費量、活動できる時間、機動性、滑空の効率、切り替えにかかる時間、より現実に近い水中環境での頑丈さは、これから定量的に測る段階にある。研究チームは、任務の目的と環境からの情報をもとに、漂うか滑空するか推進するかをロボット自身が決める仕組みの開発も進める。
想定する用途は、海や湖の監視、海流の分布の把握、水中構造物の点検、氷棚の下の探査、環境の計測、複数の地点にまたがるデータ収集など。She助教は技術移転を担う学内組織へ発明を届け出ており、同組織が特許を出願している。研究には米国立科学財団の助成が一部使われた。