Raspberry Piの純正タッチディスプレイ「Raspberry Pi Touch Display 2」5インチ版が発売

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Raspberry Pi財団は2025年8月18日、Raspberry Pi Touch Display 2の新しい5インチバリエーションを発表した。価格は40ドル(約5800円)で、世界各地の認定リセラーを通じて販売開始する。

新しい5インチ版は、サイズを除いて7インチ版とほぼ同じ仕様となっている。対角5インチ、62×110mmのアクティブエリア、720×1280ピクセルの解像度を持ち、5本指タッチに対応した真のマルチタッチ静電容量パネルを搭載している。Raspberry Pi OSで完全にサポートされており、ホストRaspberry Piから電力供給され、必要なケーブル、コネクタ、マウンティングハードウェアがすべて含まれている。

7インチ版のTouch Display 2は2024年11月4日に発表された60ドル(約8700円)の製品で、元の2015年版Touch Displayの後継モデルとして登場した。7インチ版では解像度向上とアダプタボードのディスプレイ統合により、シンプルな構成を実現している。今回の5インチ版は同じ解像度を維持しながら、より小型化を求める用途向けに開発された。

ディスプレイの特徴は、Raspberry Piエコシステムとのシームレスな統合にある。静電容量タッチスクリーンは、フルLinuxドライバーサポートにより手動キャリブレーション不要で動作し、デバイスツリーの調査や互換性のないタッチコントローラーとの格闘も必要ない。Raspberry Piに接続するだけで、標準的な5V GPIO電源供給を含めて完全に機能するマルチタッチディスプレイとして動作する。

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画像出典元Raspberry Pi財団Webサイト

AI支援開発によるデモアプリケーション

Raspberry Pi財団の公式サイトでは、新しい5インチディスプレイの機能を実証するため、AI支援開発を使用してシンプルなスライドショーアプリケーションを作成した事例も紹介されている。開発にはCursor(Claude Sonnet 4モデル使用)を使用し、プロンプトから完全な機能を持つアプリケーションを生成した。

開発過程では、マルチタッチ機能の実装で課題が発生したという。最初のバージョンはズームとパンが動作せず、シングルタッチのみの対応となっていた。これはコンポジターがタッチをマウスクリックやダブルクリックイベントに変換する際の選択によるものだった。解決策として、生のタッチイベントを直接解析する方法を採用し、ディスプレイの縦向きから横向きへの回転も考慮した座標変換を実装した。

開発時間は数時間程度で、通常では同様の速度で作成できないアプリケーションを生成できたとしている。ただし、アプリケーションのアーキテクチャを完全に理解していない点や、機能追加時の開始点が不明である点、アプリケーションの完成度やバグの有無について確信が持てない点などの制約も認めている。

Raspberry Pi財団では、AIツールをテストソフトウェアやビルドスクリプトに限定し、出力を慎重にレビューする厳格で監視された方法で使用していることも明かしている。

関連情報

A new 5″ variant of Raspberry Pi Touch Display 2

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