上空を飛ぶ飛行機の音を聞いて「どこへ向かっているのだろう」と気になったことはないだろうか。そんな疑問を解決する手作りプロジェクトがFabSceneの読者投稿フォームに寄せられた。Raspberry Piと専用受信機を使い、自宅でリアルタイムに航空機の位置を表示する「ミニ飛行機レーダー」の制作例だ。
投稿者の「そぞら」氏は、Raspberry PiとアメリカのNooelec社製「NESDR Mini」というUSBスティック型ADS-B受信機を組み合わせ、航空機が発信する位置情報を受信・表示するシステムを制作した。ADS-B（Automatic Dependent Surveillance–Broadcast）は、多くの旅客機が現在位置、高度、速度、機体番号などの情報を1090MHz帯で送信する仕組みだ。
約50km離れた航空機まで受信可能
そぞら氏の環境では、アンテナを室内に設置した状態で約50km離れた航空機の信号を受信できたという。受信したデータはFlightAware提供の「dump1090-fa」ソフトで処理され、WebブラウザでFlightradar24のような航空機マップを表示できる。
さらに興味深いのは、受信したJSONデータをPythonで処理し、独自のレーダー風表示装置を作成した点だ。PimoroniのHyperPixel 2.1 Roundという円形ディスプレイを使い、回転するレーダー画面の上に航空機の位置と進行方向をリアルタイムで表示している。
世界最大の航空追跡サービスにデータ提供も
このシステムの実用的な側面として、受信したADS-Bデータを世界最大の航空機追跡サービス「Flightradar24」に提供することで、通常年間499.99ドル（約7万5千円）のBusinessプランを無償で利用できるという特典もある。
そぞら氏は「ADS-B受信機は買って大正解のアイテムでした。Raspberry Piとの相性も抜群で、ラズパイユーザーには特におすすめです」とコメント。受信したデータの自動処理やリアルタイム表示といった処理を小型で省電力なRaspberry Piだけで完結できる点を評価している。
制作に使用したハードウェアはRaspberry Pi Zero 2 W、Nooelec NESDR Mini ADS-B受信機、Pimoroni HyperPixel 2.1 Round円形ディスプレイ、3Dプリンターで作成したスタンドなど。プログラムの作成にはChatGPTも活用したとのことで、「初心者の方でも、AIを活用すれば比較的ハードルを感じずに取り組めると思います」と述べている。
航空機への関心とものづくりを組み合わせた、実用性の高いDIYプロジェクトとして注目される制作例だ。
なお、そぞら氏はRaspberry Pi初心者向けのブログを運営し、『ラズパイPico W かんたんIoT電子工作レシピ』を技術評論社から出版している。氏のブログでは今回の作品について、レーダーの作り方をより詳しく解説している。興味を持った読者は併せて参照してほしい。
※この記事は読者投稿フォームからの応募に基づいて作成しました。
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