Raspberry Pi財団は2025年9月5日、1TB容量のM.2 SSD「Raspberry Pi SSD」を発表した。公式直販サイトでの価格は70ドル（約1万円）で、イギリス国外では世界各地の認定リセラーを通じて販売する。同製品はRaspberry Pi 5での高速ストレージ利用を想定しており、既存の256GB、512GBモデルに加えて最大容量オプションとして追加された。
同財団によると、1TBの容量では約25万枚の写真、20万曲の音楽、250本のHD映画、または20〜30本のAAA級ゲームを保存できる。SSDからの起動により超高速な立ち上げが可能で、I/O集約的なアプリケーションでの性能向上が期待される。
PCIe Gen 3対応の高性能ストレージ
「Raspberry Pi SSD」はPCIe Gen 3準拠の高性能SSDで、高速データ転送に対応。Raspberry Pi 5やその他のデバイスでの優れたパフォーマンスを提供する。利用にはRaspberry Pi 5対応の「M.2 HAT+」などのM.2アダプターが別途必要で、同アダプターは12ドルで販売されている。
SSDと「M.2 HAT+」を組み合わせることで、従来のmicroSDカードベースのシステムと比較して大幅な性能向上が見込める。特にOSやアプリケーションの起動速度、ファイルの読み書き速度が劇的に改善され、デスクトップPCに近い使用感を実現できる。
Raspberry Pi Bumper：エンジニア発案の保護ケース
Raspberry Pi財団は同時に3ドルの「Raspberry Pi Bumper」を紹介した。これは柔軟なシリコン製の保護ケースで、Raspberry Pi 5の底面と側面に装着する。ミニマルながら効果的な保護レイヤーを提供し、デスクからの物理的な損傷を防ぐ。
同製品の開発背景は興味深く、財団のエンジニアたちが作業中にRaspberry Piボードをデスクから保護しながら、同時に回路をいじれるハーフケースを自作しようとしていたことがきっかけだった。エンジニアたちの実用的なニーズから生まれた製品といえる。
「Raspberry Pi Bumper」はスナップオン式で簡単に装着でき、GPIO ピンやその他のインターフェースへのアクセスを妨げない設計となっている。開発作業中の保護から日常使用まで、幅広いシーンで活用できる。
Raspberry Pi SD Cards：最適化された公式ストレージ
同財団は公式microSDカードも32GB、64GB、128GB、256GBの各容量で提供している。これらのSDカードはRaspberry Piでのデータ転送速度を最適化するよう設計されており、デバイスからスムーズなユーザー体験を得られる。
オプションとしてRaspberry Pi OSがプリインストールされたバージョンも選択可能だ。これにより、購入後すぐに使い始めることができ、初心者にとって特に便利な選択肢となっている。OSのインストール作業が不要なため、開封からプロジェクト開始までの時間を大幅に短縮できる。
各容量のSDカードは、用途に応じて選択可能だ。軽量なプロジェクトには32GBや64GB、より多くのソフトウェアやデータを扱う場合には128GBや256GBが適している。公式製品のため、互換性や動作安定性についての心配が少ないのも利点だ。
Raspberry Pi Active Cooler：高負荷対応の冷却システム
高負荷での連続運用を想定した「Raspberry Pi Active Cooler」も提供されている。同製品はアルミニウムヒートシンクと温度制御ブロワーファンを組み合わせたクリップオン式冷却ソリューションで、重い処理負荷下でもRaspberry Pi 5を適切な動作温度に保つ。
ファンは温度に応じて自動制御され、必要な時のみ動作する省エネ設計となっている。これにより、静音性と冷却性能を両立させている。特にCPU集約的なタスク、長時間の動画エンコーディング、機械学習の推論処理などで威力を発揮する。
取り付けはクリップオン方式で工具不要、Raspberry Pi 5の標準的なマウントホールに対応している。ヒートシンクのフィン設計により効率的な熱拡散を実現し、ファンとの組み合わせで従来のパッシブ冷却と比較して大幅な冷却性能向上を提供する。
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