
エンジニアのsolopilot氏が、保証期間切れで故障したCuisinartのオーブンエアフライヤー「TOA-60」を分解し、Raspberry Pi Zero Wを使って高機能なスマート家電に生まれ変わらせるプロジェクトを公開した。
このプロジェクトの発端は、わずか1年半の使用で機能セレクターがアーク放電により焼損してしまったことだった。保証期間内だったため新品と交換になったが、solopilot氏は故障した本体を廃棄せず、これを機にスマート化改造に挑戦することにした。

このプロジェクトの発端は、わずか1年半の使用で機能を切り替えるダイヤルが電気的なトラブルで故障してしまったことだった。メーカーは保証期間内だったため新品と交換してくれたが、solopilot氏は故障した本体を廃棄せず、これを機にスマート化改造に挑戦することにした。
改造の中心となるのは、手のひらサイズの小型コンピューター「Raspberry Pi Zero W」だ。これを使って、3つのヒーター、ファン、照明などをコンピューター制御できるようにした。さらに温度センサーを追加し、庫内の温度を常時監視できるようにしている。
特に注目すべきは温度管理の改善だ。元のトースターでは300°F(約149℃)に設定しても、実際の温度は250°F〜400°F(約121℃〜204℃)の間で大きく変動していた。これでは食材が焦げてしまう原因になる。改造後は、専用の温度センサーと電子制御により、設定温度から±5°F(約±2.8℃)以内という精密な温度管理を実現。これは一般的な家庭用オーブンよりもはるかに正確な温度制御だ。

スマートフォンから操作できる11種類の調理モード
改造されたトースターオーブンは、家庭のWi-Fiに接続され、スマートフォンやパソコンのブラウザから操作できる。画面には11種類の調理モードが用意されており、それぞれ最適な加熱方法が設定されている。
主な調理モードには、通常のトースト機能のほか、熱風を使った「エアフライ」(油を使わない揚げ物調理)、じっくり加熱する「ベイク」、食材を乾燥させる「エアドライ」などがある。それぞれのモードで、上下のヒーターの組み合わせやファンの強さが自動的に調整される。
さらに便利なのが、複数の調理工程を組み合わせられる「プログラム調理」機能だ。例えば「まず予熱して、次に350°F(約177℃)で30分焼き、その後250°F(約121℃)まで温度を下げて、最後に5分間上火で焼き色をつけ、夕食の時間まで保温する」といった複雑な調理も、事前に設定しておけば自動で実行される。
音声での操作にも対応しており、専用のAndroidアプリも開発されている。将来的にはAmazonのAlexaとの連携も予定されているという。
改造に必要な部品の総額は約66ドル(約9900円)。主な部品は、Raspberry Pi Zero、電子スイッチ、制御基板、温度センサーなど。solopilot氏は、プロジェクトの詳細な配線図や設計図、プログラムのソースコードをGitHubで無料公開している。メインのプログラムと、音声操作用のアプリは githubから入手できる。
