使われ終わったリチウムイオン電池の正極を、電子レンジに似た装置で作り直す方法を、米サンディア国立研究所が公開した。これまで7日かかっていた工程が、およそ2時間で済む。捨てられていた電池材料を、新しい正極の材料に変える。
正極によく使われるリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)の粉末を、薄いシート状の「ナノシート」に変える。マイクロ波で熱を加えるこの方法では、材料の95%がナノシートになり、従来の60%を上回る。高い温度を使う従来のやり方よりも、エネルギーと費用を抑えられるという。
ナノシートにすると、扱いやすくなる利点がある。研究チームによると、材料の中の金属イオンを入れ替えやすく、いまの産業の求めに合わせやすいという。たとえば自動車の分野では、高価なコバルトの一部を、より安いニッケルに替える動きがある。古い電池が作られてから10年から15年がたつ間に、求められる組成は変わるためだ。
コバルトは、多くの電子機器に欠かせない材料だ。世界のコバルトのおよそ70%は、コンゴ民主共和国で採られているという。研究チームは、今後あふれる使用済みのEV電池を、埋め立てずに国内の材料源として使える可能性を挙げる。
ただし、電池は分解して材料を取り出すようには作られていない。古い電池から正極を取り出し、使える粉末にするまでには、なお手間がかかる。発明者の一人、Clare Davis-Wheeler Chin氏は、コバルトの供給源が限られている点を課題に挙げている。