
英国で廃炉作業中の原子力発電所「Sizewell A」から発生したコンクリート1万5000トン以上が、隣接地で建設中の新型原発「Sizewell C」の基礎資材として再利用されている。英国原子力廃止措置機構(NDA)傘下のNuclear Restoration Services(NRS)が2025年11月に発表した。
数百メートルの距離を輸送、CO2排出28トンを削減
Sizewell Aは1966年に運転を開始し、2006年に停止した原子力発電所で、現在は廃炉作業が進められている。NRSは2024年にタービンホールを解体し、2基の65トン級タービン発電機を支えていた4基の鉄筋コンクリート製台座を約700kgの爆薬で破砕した。タービンホール、消防署、電気棟から合計1万7000トン以上のコンクリートと瓦礫が撤去された。
撤去されたコンクリートは破砕・検査され、WRAP(Waste and Resources Action Programme)品質プロトコルの認証を取得。2025年9月から認証作業が進められ、認証完了後にSizewell Cの主要建設エリアへ輸送された。両サイトは数百メートルしか離れておらず、輸送距離が短いため、約800台分の車両移動を地域の道路から削減できた。再利用されるコンクリートは、Sizewell Cの各種基礎プラットフォームのサブベース(路盤)として使用される。

NRSによると、この取り組みにより廃棄物の埋め立て処分を回避し、CO2排出量28トンを削減した。新規採掘の骨材を調達する必要もなくなり、コスト削減と環境負荷低減の両方を達成している。
Sizewell Cは出力3200MWの欧州加圧水型炉(EPR)2基を建設する計画で、稼働後は約600万世帯分の電力を供給する見込み。英国政府は2025年6月に140億ポンド(約2兆7000億円)以上の投資を決定している。

