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ハエトリグモに学んだ消費電力1W未満の3D距離カメラ「SpiderCam」

ドローンやウェアラブルに3Dの距離測定を積みたくても、従来の方式は機材が大きく電気を食う。米Northwestern大学を中心に、ジョージア工科大学やパデュー大学が加わった研究チームが、ハエトリグモの目をまねて、消費電力1W未満で立体的に距離をつかむ小型カメラ「SpiderCam」を作った。論文はarXivで2026年3月18日に公開され、自作の手引きも添えている。

ハエトリグモは、ケシ粒ほどの小さな脳で、獲物までの距離を正確に測って跳ぶ。その目は、わずかにピントの違う複数の像を同時に捉え、ぼけ方の差から距離を読み取るとされる。SpiderCamは、この仕組みをそのままハードウェアに落とし込んだ。

カメラは、光を2つに分けるビームスプリッターを使い、ピントを少しずらした2枚の像を同時に撮る。低消費電力のイメージセンサーを2つ並べ、ぼけの差から距離を割り出すDfDD(微分デフォーカスによる深度推定)という手法で処理する。複雑なニューラルネットワークも、光を当てて測る能動的なセンサーも使わない。

消費電力を抑える鍵は、処理を一般的なプロセッサーではなく低消費電力のFPGA(書き換え可能な集積回路)に載せた点にある。画像1組すら丸ごと蓄えられない小さな回路で計算を流すため、メモリーの使い方やアルゴリズムを作り直した。試作機は、480×400ピクセルのまばらな距離マップを毎秒32.5コマで作り、作動範囲は約520mmある。センサーと処理回路を含めた全体で624mW(約0.6W)に収まる。研究チームは、消費電力を実測した受動型のFPGA式3Dカメラで1Wを切ったのは文献上初だとしている。

光を投げて測らない受動型のため、鏡のような反射面や透明な物体、動く場面にも強い。照明用の電気も要らない。従来の省電力なステレオ方式(FPGA利用)が2〜3W程度だったのと比べ、用途はぐっと広がる。研究チームは、ウェアラブルや小型ロボット、ドローン、AR機器への応用を見込み、今後は光学系の改良や視野の拡大、専用チップ化でさらなる省電力を目指す。

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FabScene編集部

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