
独ウルム大学とフリードリヒ・シラー大学イエナの研究チームが、太陽光のエネルギーを数日間保存し、必要なときに水素として取り出せる新素材を開発した。成果は2026年1月28日付でNature Communicationsに掲載された。
素材は水溶性のレドックス活性コポリマーで、異なる有機ビルディングブロックからなる高分子だ。太陽光を当てると光触媒反応で電子を取り込み、充電効率は80%を超える。充電状態は数日間維持でき、水素が必要になったら酸と水素発生触媒を加えるだけで、貯めた電子がプロトンと結合して水素を放出する。この放出効率は72%で、太陽が出ていない暗闇でも機能する。
ウルム大学無機化学研究所のSven Rau氏は「分子レベルで太陽電池とバッテリーを組み合わせたようなもの」と説明する。充放電の切り替えはpH値を変えるだけで済み、酸性にすると放電(紫から黄色に変色)、中和すると再び光を吸収して充電できる(黄色から紫に変色)。この可逆反応により、繰り返し充電・蓄電・水素放出のサイクルを回せる。
研究チームは、このオンデマンド型の水素生成技術が将来的に、安定したグリーン水素の供給が求められる鉄鋼生産などの産業プロセスにも応用できると見込んでいる。太陽光パネルと電解装置を別々に用意する従来の方式と異なり、1つの液体媒体で光の吸収からエネルギー貯蔵、水素放出までを完結できる点が特長だ。

