
MITの研究チームが、3Dプリントで造形した後のオブジェクトの見た目を事前に確認できるAIツール「VisiPrint」を開発した。2026年4月1日にMIT Newsが公開した。
3Dプリント向けのスライサーソフトが生成するプレビューは、形状や印刷可能性といった機能面を重視しており、色、ツヤ、透明感といった外観の再現は考慮されていないことが多い。そのため、実際に造形してみると想定と異なる見た目になるケースがあり、素材を変えながら何度も試し刷りを繰り返すことになる。研究チームによれば、3Dプリントで使われる素材の最大3分の1が廃棄物として埋立処分されており、その多くが試作段階で捨てられたものだという。
VisiPrintへの入力は2つだけだ。スライサーソフト上のデジタルデータのスクリーンショットと、使用するフィラメント素材の写真1枚。ユーザーが手元のサンプルを撮影してもよく、オンラインの商品画像でも対応する。この2枚の画像から、コンピュータービジョンモデルが素材の特性を抽出し、生成モデルがオブジェクトの形状やスライスパターンを考慮しながら外観を合成する。色だけでなく、ツヤ、半透明性、積層による表面の質感まで反映した仕上がりプレビューが、平均1分以内に生成される。競合する手法と比べて2倍以上速い。
精度を高める鍵となったのは、深度マップとエッジマップを組み合わせた独自のコンディショニング手法だ。深度マップはオブジェクトの形状と陰影を保持し、エッジマップは内部の輪郭や構造的な境界を反映する。リードオーサーでMIT電気工学・コンピュータサイエンス専攻の博士課程学生、Maxine Perroni-Scharf氏は「この2つを適切なバランスで組み合わせないと、形状が崩れたり誤ったスライスパターンが生成されたりする」と説明する。
ユーザー研究では、ほぼすべての参加者がVisiPrintの出力について、競合手法より外観の再現性と素材の質感の近さが優れていると評価した。インターフェースには上級者向けの詳細設定も備わっており、色の影響度などを調整できる。なお、VisiPrintは外観のプレビューに特化しており、印刷可能性や機械的な強度の推定はスライサーソフト側の機能として位置づけられている。
現在の実装はFFF(熱溶解積層)方式を対象としており、複数の3Dプリントソフトに対応する。研究成果はACM CHI 2026で発表される予定だ。

