5分でOK!顔写真から3Dモデルを生成──「Make My Statue」で自分を偉人風のトロフィーにする

FabScene(ファブシーン)

3Dプリントを楽しむにはデータが欠かせない。従来のモデリングソフトやデータ共有サービスに加え、最近ではオンラインのデザインツール(ジェネレーター)も多数登場している。「公開データでは物足りないが、モデリングはハードルが高い」と感じているなら、まさにジェネレーターは最適な選択肢だ。

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今回は以前の記事「モデリング未経験でも使える3Dデザインツール──『Make My Sign』で立体看板制作」に続き、3Dプリンターメーカー Bambu Lab が運営するユーザープラットフォーム「MakerWorld」を活用。一枚の顔写真から立体像を生成するジェネレーター「Make My Statue」を使い、自分のトロフィー風3Dモデルを生成・編集・プリントしてみよう。

目次

一枚の写真から生まれる、たくさんの3D“俺たち”

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Screenshot

Make My Statueを使うには、Bambu Labアカウントでのサインインが必要だ。アカウントは無料で作成でき、Bambu Labの3Dプリンターを持っていなくても登録できる。

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アカウント作成後「Create from Blank」を選択し、顔全体が写った正面写真をアップロードする。マスクや髪で顔が隠れていないこと、犬や猫など人物以外ではないことが条件だ。胸あたりまで写っている写真が最適のようだ。

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見本に合わせて若干のドヤ顔をしてみたが、吉と出るか凶と出るか……?

それらしい写真を用意して「Generate」を選択すると、さっそく3Dモデルの生成が始まった。モデルの完成までには数分かかるが、途中でページを離れても問題はない。写真をアップしてクリックすれば良いだけの手軽さには驚かされる。

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数分待って生成されたモデルがこちら。写真では見えない後頭部までしっかり作られているが、表情は似ているような他人のような……? 鼻が高く顎もシャープになり、アジアよりも欧米風な面持ちだ。やはりAI開発の本場、欧米の3Dモデルが学習されているのだろうか。

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結果に納得がいかなければ「Retry」を押して、同じ写真からモデルを再生成することも可能。二度目はなんとなく悔しそうな表情となり、このわずかな差が生まれる生成プロセスが気になる。

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角度や表情も変えてみた
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親戚の集まり?

メガネは3Dモデルに反映されないようなので、裸眼の写真で再度トライ。やはりどこか似ているような、別人のような不思議なモデルが生まれていく。いろいろ試しているうちに大量の自分もどきが並び、気がヘンになりそうだったので、最初のアメリカンな笑顔で作業を進めることとする。

3Dモデルをトロフィー型に整える

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気に入ったモデルを選んだら「Confirm」を選択。この先の編集に進むには、MakerWorld内のクレジットが必要となる。これはアカウント登録やチュートリアル達成などで入手できるサイト内通貨のようなもの。一つのモデル生成に必要なのは10クレジットほどなので、不足していても簡単に集められるだろう。

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編集機能は4種類。「Add a Base」では3種類の土台を選べるほか、正面部分に文字を追加することも可能だ。

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メガネもここで追加できる。8種類しかなく、頬や鼻を貫通しているのも気になるが、透明部分が多く細いメガネは3Dでの再現が難しいのだろう。メガネにこだわりのある人は、別途用意したモデルと組み合わせるなどして対応しよう。

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「Transform」ではXYZ軸の回転やスケール変更が可能。

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さらに「Mesh Edit」では、クリック&ドラッグでモデル表面を直接調整できる。「Smooth(なめらかに)」「Inflat(膨らませる)」「Gouge(削る)」といった操作を使い分けながら、まるで粘土をこねるように整えていこう。

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編集後に「Save and Exit」を選択すれば、STLまたは3MF形式で書き出せる。作成したモデルは商用利用も可能だが、公開時にはMakerWorldのクレジット表記が必要となることに注意しよう。

AI×3Dプリントで生まれた、もう一人の自分達

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Make My Statueから書き出した3Dモデルをスライサー(Bambu Studio)に読み込んでいく。書き出されたモデルのサイズは縦横10cm、高さ17.5cmほど。設定は0.20mm Standard(サポートあり)として、2体同時にプリントして約5時間ほどで完成した。

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印刷が完了し、なんだか誇らしげな表情に見える2体のモデルから、サポート材を剥がしていく。編集で追加したメガネは線が細いので慎重に扱おう。また、土台の正面に追加した文字の一部はサポートとともに剥がれてしまったので、こちらも丁寧な作業を心げよう。

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こうして2体の自分トロフィーが完成!素材には白色のPLAを用いたが、データで見たときよりもマットで彫像的な質感に仕上がった。髪や皮膚のテクスチャが積層痕を目立たなくし、どこか愛嬌のある印象だ。完全にそっくりとは言えないが、眺めているうちに「これはこれでいいな」と感じられる不思議な存在感が漂っている。

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自分から作ったモデルに自分の表情を寄せる奇妙さ

たった一枚の写真から存在感ある彫像が作れる「Make My Statue」。3DプリンターやAI技術の進化を伝える際には、うってつけの題材となってくれるだろう。偉人像のようなトロフィーは自分で愛でても良いが、その不思議な存在感をいかしたプレゼントとしても喜ばれるはずだ。

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飲み屋の一角に置いたら不思議と馴染みました

記事中の3DモデルはMakerWorldのサービス「Make My Statue」によって制作されました。 https://makerworld.com/makerlab/makeMyStatue

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ライター/編集者。大学で3Dプリンターと出会いものづくりの面白さに目覚め、デジタルファブリケーションの世界へ。卒業後、研究員として2年半ほど従事したのち、ものづくりを中心としたライターとして独立。
2023年には墨田区でファブ施設「京島共同凸工所」の運営をスタート。文章と場づくりを行き来しながら、街での生活を満喫している。工房での日々を綴った自主制作本「京島の十月」が販売中。

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