Raspberry Pi Pico 2 Wから、1920×1080の映像をHDMIでテレビに映すファームウェアが、MITライセンスでGitHubに公開された。30Hzで各色8ビットのフルカラーを出し、外付けの映像用チップは使わない。テレビをボードゲームの盤面にし、参加者が手元のスマートフォンから遊ぶ「TV-Top Games」の専用端末として、Aaron Gayle氏が作った。
難しいのはメモリーだった。1080pの画面を1枚分そのまま持つと約6MBになるが、Pico 2 Wが載せるRP2350のRAMは520KBしかない。そこで、画面全体を保存しておく領域を最初から持たない設計にした。1行ずつ、表示される直前に作る。
描くための図形データはフラッシュに置き、走査線が画面を上から下へなぞっていく少し先、6行前に、その行を組み立てる。同じ色が続く部分をまとめて表す形で、RP2350の高速シリアル出力回路「HSTX」へ送る命令列にする。
もう1つの壁は速度である。HSTXの1ピンあたりの定格は毎秒300Mbitだが、1080pを30Hzで出すには744Mbitが要る。Gayle氏はRP2350を372MHzまで引き上げ、コアの電圧を1.30Vにして動かした。
自分で作るのに専用の基板は要らない。Pico 2 Wと、GPIOのうち8本をHDMI端子につなぐ手段があればよい。ピン配置は、Picoで映像を出すライブラリ「PicoDVI」の定番の割り当てと同じで、市販のPico用DVI拡張基板がそのまま使える。ただし1080pでは1本の信号線に毎秒744Mbitを流すため、配線は短くし、HDMIケーブルも短いものを使う必要がある。READMEは、まず640×480で映ることを確かめ、そこから解像度を上げていく手順を勧めている。
解像度は1080pのほか、標準の720p60や、ケーブルやチップの余裕が足りない場合の960×540などから選べる。ゲームの状態が変わったときだけ描き直す作りなので、30Hzでも60Hzでも使い勝手は変わらないという。
Wi-Fiは、Pico 2 W内蔵の無線を使う構成と、ESP32-C3を外付けして通信と暗号化を任せる構成の2通りがある。1080pの開発は後者で進めている。ゲームを配信するサーバーと、端末との通信仕様は公開していない。