Categories: ニュース

Raspberry PiのRP2350で暗号化P2P通信の「iroh」が動作

Raspberry Piは2026年11月6日、n0が開発する通信ライブラリ「iroh」が同社のマイコンRP2350で動いたと公式ブログで紹介した。n0はRustで書いたirohをRP2350に移植し、RP2350を載せたPimoroniの卓上ディスプレイ端末「Presto」でWi-Fi経由の通信を試した。

irohはアプリや機器どうしを暗号化した通信で直接つなぐライブラリだ。相手をIPアドレスではなく公開鍵で指定して接続し、直接つながらない場合は中継サーバー(リレー)を経由する。通信方式にはQUICを使う。Raspberry Piによると、Wi-Fiや携帯電話網のほか、Bluetooth LEやLoRaといったIP以外のネットワークでも、機器どうしのメッシュネットワークを組める。

移植の経緯は、n0のRüdiger Klaehn氏が2026年9月にブログで公開している。irohはRustの標準ライブラリ(std)を前提にしており、標準ライブラリのないマイコン向けの環境には対応していない。そこでKlaehn氏はRaspberry PiのPico SDK、リアルタイムOSのFreeRTOS、Cの標準ライブラリnewlib、通信処理のlwIPを組み合わせ、RP2350の上でRustの標準ライブラリを使える環境を作った。

Prestoは480×480ドットの画面と8MBのPSRAMを備え、Wi-FiにはRaspberry Piの無線モジュール「Radio Module 2」を使う。Klaehn氏はメモリーの割り当て先をPSRAMに置き、機器の秘密鍵をフラッシュメモリーの最後の4096バイトに保存した。暗号化通信の証明書を確かめるために、起動時にネットワーク経由で時刻を合わせる。最終的に、リレーを使ったQUICの通信でESP32の既存のクライアントと応答を交わせた。Wi-FiのないRaspberry Pi Pico 2では、簡単なプログラムが動くところまで確かめた。

n0は今回の移植を試作と位置付けており、製品向けのサポートは別途相談に応じる。リポジトリにはWi-Fi、画面、PSRAMを試す例と、irohの通信を試す2つの例が入っている。開発環境はApple Silicon搭載のmacOSでだけ確認している。コードはGitHubのリポジトリ「iroh-pico-examples」で入手でき、n0が書いた部分のライセンスはMITかApache-2.0だ。

関連情報

FabScene編集部

FabScene編集部