
鉱山はディーゼル燃料を大量に消費する。採掘・輸送・加工・港湾と、あらゆる工程が燃料に依存しているからだ。ディーゼルは100%輸入で、価格も供給も不安定。鉱山会社にとってエネルギーコストは最大のリスクの一つだ。
オーストラリア鉄鉱石大手Fortescueが2026年4月10日、そのディーゼルを太陽光・風力・大型蓄電池に完全に置き換える計画の前倒しをASX(オーストラリア証券取引所)に開示した。西オーストラリア・ピルバラ地区の鉄鉱石採掘・加工事業が対象で、2028年末の完成を目標とする。当初計画より約2年の前倒しだ。
建設するのは国家の電力系統に頼らない完全自立型の電力網だ。太陽光1.2GW・風力600MW超・大型蓄電池4〜5GWhで構成し、鉱山・港湾・鉄道・加工施設・約1万人分の居住区を24時間まかなう。同社の発表によれば、このシステムが完成すればパース市の住宅地全体に相当する電力を供給できる規模になる。
経済効果も明確だ。来年中に290MWの再生可能設備を稼働させることで、燃料費を年1億ドル(約160億円)削減できる見込みで、完成後はさらに生産コストを下げる余地があるとしている。
さらにFortescueは、今回構築した技術を世界に売り出す考えも示した。技術ライセンスや「エネルギー供給サービス」として大口電力消費者や各国政府に提供する構想で、データセンター向けのハイパースケーラーとも初期段階の協議が始まっているという。追加2GWの整備費用は25億ドル(約4000億円)以下になると見通す。
同じくオーストラリアでは、4月2日にAggreko社とHarmony Goldがクイーンズランド州の銅鉱山向けに太陽光・大型蓄電池・熱発電を組み合わせた「豪州最大のオフグリッド再エネ施設」の最低15年の電力契約を締結。西オーストラリアの金鉱山を持つBellevue Goldも2026年3月、電力需要の90%を再エネで賄い、ディーゼル調達がコスト全体の1.3%まで低下したと報告した。燃料費削減と脱炭素を両立するモデルが、オーストラリアの採掘業界全体に広がりつつある。

