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商用品より95%安い、20km探知のオープンソースレーダーの全設計データがGitHubで公開

商用フェーズドアレイレーダーの最低価格は25万ドル(約4000万円)からとされる。モロッコの電気エンジニア、Nawfal Motii氏はその90〜95%安のコストで同等のシステムを作れることを示した。2026年3月、「AERIS-10」の全設計データをGitHubで公開した。

AERIS-10は10.5GHz帯のパルス線形周波数変調(LFM)フェーズドアレイレーダーで、2つのバリアントがある。「AERIS-10N(Nexus)」は8×16のパッチアンテナアレイで探知距離最大3km。「AERIS-10E(Extended)」は32×16の誘電体スロット導波管アレイを採用し、最大20kmまで複数目標の同時追跡が可能だ。どちらも距離とドップラー速度を同時計測できる。

電子回路の中核はAMD Artix-7 FPGA(XC7A50T)でレーダー信号処理を担い、STM32マイコンがシステム管理を受け持つ。周波数シンセサイザー基板にはAD9523-1低ジッタークロックジェネレーターを搭載する。現行プロトタイプはアジマス方向をステッピングモーターで機械走査し、仰角方向は電子ビームステアリングで制御するが、アーキテクチャ上はアジマスも電子制御に移行可能な設計になっている。AERIS-10E版には10W出力のQPA2962 GaNアンプ基板が16枚必要で、これだけで約7200ドル(約115万円)かかる。部品コストの目安はNexus版で約5000〜6000ドル(約80〜95万円)、Extended版で約1万3000〜1万5000ドル(約210〜240万円)とされる。

制御ソフトはPython製GUIで、リアルタイムの目標プロット・地図統合・レーダー操作インターフェースを備える。ハードウェア設計(回路図・PCBレイアウト・BOM・ガーバー・機構図)はCERN OHL-P v2ライセンス、FPGAコード(VHDL/Verilog)・STM32ファームウェア・PythonコードはMITライセンスで公開されている。

法規制については、これはアマチュア無線ではなく「無線標定(radiolocation)システム」に分類され、運用には各国の免許が必要となる。Motii氏はFCC/CEの認証取得を見据えて設計を進めており、2026年第3四半期にはKickstarterキャンペーンの立ち上げを予定している。

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FabScene編集部

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