スウェーデンのKTH王立工科大学と英サウサンプトン大学の研究チームが、断面が平たいリボン状の光ファイバーを作る手法を開発したと2026年8月13日に発表した。実験では、圧力に対する感度が従来の円形の光ファイバーの最大1000倍に達した。成果は学術誌『Nature Communications』に掲載された。
光ファイバーは通信の道具としてだけでなく、センサーとしても使われてきた。ガラスに力が加わると光の通り方がわずかに変わるため、その変化を読めば圧力や温度がわかる。ただし断面が円形だと、どの向きから力を受けても反応が似通ってしまい、感度にも限界があった。
研究チームは、断面の縦横の比を大きく取った四角い形状を選んだ。丸いファイバーを後から押しつぶす手法が広く使われてきたが、今回は最初から平たい形の母材を作り、そこから引き延ばす。さらにレーザーを使ったガラス加工で、内部に空気の通り道や金属を詰めた領域を作り込んだ。形そのものをセンサーの機能部品として使う考え方だ。
温度を測る用途では、内部の微細構造の一部にスズ系の合金を詰めた型を試した。金属は温度によって膨張の度合いが変わるため、周囲のガラスに加わる力が変化し、それが光の通り方に表れる。
「見た目が違うだけのファイバーではない。光ファイバーにとって新しい設計の余地だ」と、KTHのPawel Maniewski氏は述べる。「形を変えることで、ガラス自体を周囲の物理的な世界にずっと敏感にできる」
用途として研究チームが挙げるのは、複合材料への埋め込みだ。航空機やドローン、橋などの構造物の内部にファイバーを通せば、目に見えない内部のひずみや圧力の変化を捉えられる。電池の内部に入れる使い方も想定する。セル内部の圧力と温度の変化は、異常が起きる前触れとして表れることがあるためだ。
光ファイバーは電子式のセンサーと違い、電磁的な干渉を受けない。軽くて小さく、過酷な環境でも動く。今回のファイバーは、既存の光学系にそのままつなげる互換性を保ったまま、こうした性質を持つ。100mを超える長さでの作製にも成功している。
サウサンプトン大学のChris Holmes教授は、次の段階として、原理を示す段階の測定から実際のシステムへ持っていくことを挙げる。具体的には、自律的に判断するドローン、先進的な複合材料、そしてより安全なエネルギー技術を挙げている。