大阪公立大学の松原康郎准教授と天尾豊教授、飯田グループホールディングスの研究グループは2026年5月13日、電池や電子制御回路を使わずに太陽光からギ酸を作り続ける人工光合成技術を開発したと発表した。成果は2026年3月20日付で学術誌「EES Solar」に掲載された。
ギ酸は、二酸化炭素を減らしながらエネルギーを蓄えられる液体だ。太陽電池と、ギ酸を作る電解槽を組み合わせれば、太陽光から燃料を生み出せる。ただ、太陽光は時間帯や天候で強さが変わる。太陽電池を常に効率よく働かせるには、電圧と電流を調整する「最大電力点追従(MPPT)」という制御が要る。従来はこの制御に高価なバッテリーや電子回路が必要で、装置を高くしていた。
研究グループは、電解槽を熱と電気の両面から理論的にモデル化し、設計を見直した。すると、電子式のMPPT回路を使わなくても、電解槽そのものが太陽電池の最大電力点を追えるようになった。太陽光が強まると電解槽が温まって電気抵抗が下がり、電流が流れやすくなる。この性質を利用して、装置が自分で働き方を調整する。
市販の単結晶シリコン太陽電池をつないだ電解槽でこのモデルを試したところ、発電したエネルギーの平均85%を使えた。太陽光からギ酸への変換効率は、装置を動かすエネルギーも含めて2%で、純水と二酸化炭素から0.1kgのギ酸を作った。自動運転する人工光合成として、現時点で世界最高レベルの効率だとしている。
研究グループは、2025年4月に開幕した大阪・関西万博の「飯田グループ×大阪公立大学共同出展館」でこの装置を実証し、館内のミニジオラマへの給電に使うギ酸を作った。今後はギ酸の生成量を増やし、住宅に積める人工光合成技術へ広げるとしている。