米Qualcommの子会社Qualcomm Technologiesは2026年9月23日、ロボット用ソフトウェアを開発するPickNikを買収することで合意した。PickNikは、ロボットアームの動きを計画するオープンソースのソフトウェア「MoveIt」を長年開発・管理してきた。買収の金額は明らかにしておらず、通常の完了条件を満たしたうえで成立する。
MoveItは、ロボット開発の共通基盤として広く使われる「ROS(Robot Operating System)」の上で動く。アームがどの関節をどう動かせば、周囲にぶつからずに目的の位置へ手先を届けられるかを計算し、物をつかむ、置くといった動作を組み立てる。産業用の自動化装置からサービスロボット、移動しながら作業するロボットまで、企業や研究者、学生が世界中で使ってきた。
買収後もMoveItはオープンソースのまま続ける。Qualcommは、今のライセンスを変えず、開発の方向性も利用者のコミュニティーとともに決めていくとしている。他社のハードウェアへの対応も続ける。どのロボットや計算機、センサーを使うかを開発者が選べる点が、MoveItの価値の土台になっているためだと説明する。両社はオープンソースのロボット開発を支える団体「Open Source Robotics Alliance」の創設メンバーで、宇宙向けに信頼性を高めたROSの開発も続けるという。
一方で、Qualcommのロボット向けプラットフォーム「Dragonwing」との結び付きは強める。MoveItと、PickNikの商用版「MoveIt Pro」、今後の技術をDragonwingに深く組み込み、AIのモデルから動作の計画、実際のアームの制御までを一続きで開発しやすくする。
その最初の対象になるのが、ArduinoのボードのVENTUNO Qだ。Qualcommは2025年10月にArduinoの買収を発表しており、MoveItをArduinoの環境にも広げることで、数百万人規模の開発者が高度なロボットの制御に触れられるようにするとしている。今週カナダ・トロントで開かれるROSの開発者会議「ROSCon」では、VENTUNO QとDragonwingの上でMoveIt Proを動かす展示をする。
PickNikの創業者で最高製品責任者のDave Coleman氏は、Qualcommに加わることで、MoveItをロボット向けAIの学習基盤として育てる投資を増やせると述べた。そのうえで、開放性と、コミュニティーとの協力、複数のハードウェアへの対応は守ると強調している。