Bambu Labが奪った3Dプリンターの機能、復活させた個人が停止命令を受け削除

FabScene(ファブシーン)  Modern multi-spool 3D printer on a wooden desk with a workshop backdrop and pegboard tools in the background.

3Dプリンター大手のBambu Labは2025年1月17日、X1シリーズ向けにファームウェア「01.08.03.00」を投入し、プリンターの紐付け/解除、印刷ジョブ開始、軸動作・温度・ファン・AMSの制御、キャリブレーションといった操作に「認可・認証保護メカニズム」を必須化した。同社は理由として、過去に検出された不正リクエストやDDoS攻撃、リモートハッキング事例を挙げ、最大で1日3000万件の不正リクエストを記録したと公式ブログで説明する。これにより、コミュニティが愛用してきた人気スライサー「OrcaSlicer」(Bambu Studioの派生)からの直接印刷機能は使えなくなり、Bambu Lab製プリンターのユーザーは公式の橋渡しソフト「Bambu Connect」をスライサーとは別に立ち上げなければならなくなった。

この制約に対し、ポーランドのソフトウェア開発者Paweł Jarczak氏は、OrcaSlicerをフォークした「OrcaSlicer-bambulab」を独自に開発した。Bambu Studioが採用するAGPL-3.0ライセンスの公開ソースコードと、Jarczak氏が独自に書いた統合層を組み合わせることで、認証制御を経由せずに直接インターネット越しでBambu Lab製プリンターを操作できるようにする狙いだ。同氏は、Bambu Lab独自のネットワークプラグインのバイナリは再配布しなかったと明示している。リリースは2026年4月までにv2.4.0-bmcu.3まで重ねられ、コミュニティから一定の支持を得ていた。

ところが2026年4月下旬、Bambu LabからJarczak氏に直接連絡が入った。同氏が公開したGitHubの声明によれば、Bambu Lab側は、当該実装が「Bambu Studioのなりすまし」「認可制御のバイパス」「利用規約違反」「リバースエンジニアリング」に該当し、改造フォークがプリンターに任意のコマンドを送り得る、と主張。法的資料に言及し、停止命令書(cease and desist letter)を準備済みとも告げた。Jarczak氏は具体的な該当ファイル・コミット・コードパスや、依拠する法的・契約的根拠、利用規約/EULAの該当条項を逐条で示すよう求めたが、要求した精度の技術的・法的説明は得られず、再度広範な非難と「リバースエンジニアリング」への繰り返しの言及を受け取ったとしている。

Jarczak氏は声明で、「これらの主張を確立した事実とは認めない」と明確に反論した上で、リポジトリの実装、リリース、タグなどの素材一式を自主的に削除した。声明はそのまま削除の理由を「この特定の実装をめぐる長期紛争を維持する関心も、配布を続ける関心もないため」と説明し、「削除はメーカー側のすべての法的・技術的主張を認めたものではない」と注記する。あわせて、Bambu Labとの私的なやり取りの全文公開を打診したが拒否されたとし、関連記録を保管したまま「適用法の範囲で開示権を留保する」と明記した。

AGPL(Affero GPL)はGNU GPLの派生で、ネットワーク越しに利用させる場合でも改変版のソース公開を求めるオープンソースライセンスだが、ソースを公開しつつ認証制御でエコシステムを囲い込む手法と、その境界線で何が起こり得るかを示す事例といえる。

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