
レゴブロックを組み合わせるように、規則的な小さな立体を積み上げて建物を作る——マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、こうした発想を実用レベルで検証した研究成果を2026年4月28日に発表した。
同チームは格子構造の3次元ブロック「ボクセル」と、これを自動で組み立てるシャクトリムシ型ロボット「MILAbot」(Modular Inchworm Lattice Assembler)を組み合わせ、簡単な建物を作る場合の効率と環境負荷を試算した。MITのCenter for Bits and Atoms(CBA)の大学院生Miana Smith氏らが筆頭著者で、論文はAutomation in Constructionに掲載された。
ボクセルとは、短い棒材を立体格子状に組んだサブユニットで、CBAは過去に航空機の翼や風力タービンのブレード、宇宙構造物への応用研究を続けてきた。CBA所長のNeil Gershenfeld教授は「航空宇宙の原理を建築に応用している。なぜ航空機を作るように建物を作らないのか」と問いかける。チームは既存8種類のボクセル設計を評価し、オクテット格子を基にした新しい3種類の設計を提案した。新設計はスナップフィット接続が機械的に自己整列するため、接合金物を多用せずとも剛性の高い構造を組める。

組み立てを担うMILAbotは、両端にグリッパーを備えたシャクトリムシ型のロボットだ。一端を組み上がったボクセル構造に固定し、もう一端を伸ばして次のボクセルを置き、上を踏みつけてスナップ接続を確実にする。ボクセルとロボット本体の幾何学的関係を活用することで、複雑なセンサーがなくても精度の高い組み立てができるとSmith氏は説明する。設計支援ツールでは、ボクセル化した建物形状を入力するとロボットの動作経路を自動計算し、指令を送り出す。
論文では、プラスチック・合板・鋼鉄の3素材で作ったボクセルで平屋建物を建設するケースを試算した。鋼鉄ボクセルでは、3Dコンクリートプリント方式と比べてembodied carbon(建材ライフサイクル全体のCO2排出量)が36%、プレキャストコンクリート方式比で52%に抑えられた。合板ボクセルはさらに低く、それぞれ17%と24%。プラスチックボクセルは既存方式に劣るが、素材の選び方次第で改善の余地があるとSmith氏は語る。建設時間は鋼鉄・木材ボクセル平均99時間で、既存手法平均155時間を下回った。MILAbot単体では既存方式より遅いが、20台並列で動かせば既存自動化方式に追いつき、コストも競合できる。次は、CBAがブータンで立ち上げた「super fab lab」を活用し、計画中のサステナブル都市で実証実験を行うとGershenfeld氏は述べた。

