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動きながら次を考えるロボット、MITの手法で反応速度が30倍に

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、ロボットが動きながら次の動作を考えられるようにする手法「VLASH」を開発した。動作と動作の間に生じる停止をなくすことで反応速度は30倍以上に、作業全体では2〜3倍速くなった。成果は2026年7月28日に発表され、国際会議IROSで発表される予定だ。

いま最先端のロボットでは、生成AIの一種である視覚言語行動モデル(VLA)が頭脳の役目を担う。カメラで周囲を見て、指示を受け取り、次の数手分の動作をまとめて出力し、実際に動かす。ただしこの計算は重い。ロボットは次の手を考える間だけ動きを止めるため、動作がぎこちなくなり、周囲の変化への対応も遅れる。洗濯物をたたむような作業で、一手ごとに止まる状態を想像すると分かりやすい。

研究チームが着目したのは、考える処理と動かす処理を重ねられないかという点だった。ここで問題になるのが、次の動作を「今の状態」を基に計画してしまうことだ。論文の筆頭著者の1人であるJiaming Tang氏は「ロボットが動いた後に環境は変わる。今の環境という古い観測を基に計画すると、ずれが生じて制御が不安定になる」と説明する。

VLASHはこのずれを、ある気づきによって回避した。将来の環境がどう見えるかは分からなくても、ロボット自身が今どこにいて、これから実行する動作でどう動くかは分かっている。この情報から、現在の動作が終わった時点のロボットの状態を予測し、それを基に次の動作を計画する。ロボットに自分の未来の状態を意識させる、という考え方だ。

さらに動作の分割を粗くする工夫も加えた。同じ軌道をたどるなら、細かく刻まず大きめの一歩でまとめて実行する。精度はわずかに落ちるものの、作業全体の所要時間は2〜3分の1になった。

ただし、未来の状態を単にモデルへ与えるだけでは安定した制御にならなかった。そこでチームは、学習データの与え方を工夫し、モデルが現在の観測ではなく未来の状態を使うよう学習させる手法も開発した。既存の学習データを再利用する形で、追加の計算負荷なしに学習速度を5倍にした。

実機での比較では、立方体を色ごとに仕分けて箱に入れる作業で、既存手法の2倍の速さを記録した。正確さは90%で、最良の既存手法と同等だった。卓球やモグラたたきのような、素早い判断が要る作業もこなす。この手法は計画の処理に余分な計算を加えず、さまざまなロボットハードウェアに適用できる点も特徴になる。

論文にはMITのほか、Nvidia、カリフォルニア大学バークレー校、同サンディエゴ校、カリフォルニア工科大学、清華大学の研究者が名を連ねる。研究チームは今後、ロボットが実際に見る環境そのものを予測できる「世界モデル」と組み合わせることを目指すとしている。

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FabScene編集部

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