
アリは設計図もリーダーもなく、複雑な巣を作る。その秘密は「周りの変化に反応する」というシンプルなルールの積み重ねだ。ハーバード大学のL. Mahadevan教授らはこのしくみをロボットに再現し、指示なしで構造物を建設・解体できる群ロボット「RAnts」を開発した。論文は2026年にPRX Lifeに掲載された。
RAntsが使うコミュニケーション手段は「光」だ。本物のアリがフェロモン(においの信号)で仲間を誘導するように、RAntsは床に光のパターンを残しながら動く。他のロボットはその光の強弱を読み取り、濃い場所でブロックを拾い、薄い場所で降ろす。これだけのルールで、ロボットたちは自然と集まり、構造物を作り始める。
面白いのは、同じロボットが「建設係」にも「解体係」にもなれる点だ。「仲間の信号をどれくらい強く追うか」と「ブロックを降ろす頻度」という2つの設定を変えるだけで、群全体の行動が切り替わる。事前に「解体せよ」と命令する必要はない。
研究チームはこの現象を「賢さは個々のロボットではなく、ロボットと環境の間のやり取りの中に宿る」と表現している。将来的には、人が入れない危険な場所での自律建設や惑星探査などへの応用が見込まれている。

