
楽器を弾きながら歌詞の紙をめくる。タブレットが充電切れで途中で消える。こうしたステージでの小さな悩みを、Nils Engelbach氏は2019年から少しずつ解決してきた。地元の音楽クラブ(Musikverein)向けに作り始めた歌詞表示システムが、GitHubでオープンソース公開されている。
使った部材はほぼ手元にあったものだ。ラズパイに縦向きにした古いPCモニター、3キーのUSBフットスイッチ、壊れたスピーカーの筐体をそのまま使ったケース。足元のスイッチを軽く踏めば歌詞がスクロールし、3秒押し続けると前後の曲に切り替わる。手は楽器に、目は歌詞に集中できる。
歌詞データは独自のMarkdown形式で管理しており、コーラス・ブリッジ・ハイライトをそれぞれ別の色で表示できる。Node.jsで動くウェブアプリとして実装されており、起動時にChromiumブラウザがキオスクモード(全画面専用モード)で自動起動する。電源を入れれば即使えるという状態を目指した設計だ。
複数のシンガーが交代するライブで特に役立ったのが、最近追加したWiFiホットスポット機能だ。ラズパイ自体がWiFiを飛ばし、スマートフォンからセットリストの管理や曲の切り替えができる。舞台袖のスタッフが次の出演者の歌詞に切り替えられるため、ステージ上の誰かが操作する必要がない。
ソフトウェアとハードウェアの詳細はGitHubで公開されており、ブラウザで使えるオンライン歌詞エディターも用意されている。

